第一三共グループでは、持続的な成長に向けて取り組むべき重要課題を、当社グループにおける重要度(中長期的な企業価値に影響を及ぼす重要性)と社会からの期待の両面から、2019年度に8つのマテリアリティとして特定し、2020年度には「事業に関わるマテリアリティ」と「事業基盤に関わるマテリアリティ」に整理し、マテリアリティ毎にKPIを設定しました。
価値創造のための8つのマテリアリティ
当社グループの価値創造の根幹である「革新的な医薬品を継続的に創出」していくことが、当社グループが取り組むべき最重要課題です。研究開発を通じて生み出した医薬品を患者さんにお届けするためには、高品質な医薬品の安定供給、高品質な医療情報の提供、医療アクセスの拡大が重要となります。また、持続可能な経営基盤の強化として、コンプライアンス経営の推進、企業理念の実現に向けたコーポレートガバナンス、環境経営の推進、当社グループの事業活動の競争力と優位性を生み出す多様な人材の活躍推進と育成についても、事業を支える重要な課題として取り組みます。
マテリアリティの特定プロセスとKPI*設定までの経緯
マテリアリティの特定と整理にあたっては、2015年度にCSRの観点から、36課題を選定しました。2018年度には、取り組むべき課題の新設や統合などを行い、21課題に見直しました。
さらに、2019年度にCSRに事業およびガバナンスの観点を加えた上で、当社グループの中長期的な企業価値に影響を及ぼす重要度と、当社グループのさまざまなステークホルダーを含む社会からの期待の両面から、中長期的取り組み課題として抽出し、ステークホルダーとの対話を参考にしてマテリアリティ案を作成しました。
そして、取締役会での2度の議論を経て、2020年3月に8つのマテリアリティとして特定しました。取締役会では、社外取締役から「コンプライアンス経営の推進」や「環境経営の推進」の重要度の高さについて意見が出され、活発な意見交換が行われました。
2020年度は、第5期中期経営計画と連動したマテリアリティ毎の取り組み指標「KPI」*1の設定についての議論を行いました。「KPI」については、経営会議での議論に加え、取締役会メンバーによる複数回の議論を経て、2021年3月の取締役会で承認されました。そして、2021年4月の第5期中期経営計画の公表時に、マテリアリティ毎の長期目標、マテリアリティ実現に向けた課題に加えてKPIを公表しました。
* Key Performance Indicator(主要業績評価指標)の略
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マテリアリティマネジメントサイクル
マテリアリティマネジメントは、経営企画部とサステナビリティ推進部が推進事務局を務めるマテリアリティマネジメント体制で推進しています。社会環境変化を捉え、KPI設定時には、新型コロナウイルス感染症が社会にもたらした影響等も踏まえ、マテリアリティの追加、変更の必要性有無についても、取締役会メンバー間で議論を行いました。毎年のマネジメントサイクルの中で、定期的なKPI目標の進捗状況の確認やマテリアリティの改善にむけた議論を行っています。2023年度は、取締役会・経営会議において、マテリアリティの進捗や進化を2回報告・議論し、2024年度も現行のマテリアリティ及びKPIを継続することを決定しております。
ステークホルダーとの対話
2021年2月にクレディ・スイス証券株式会社主催のスモールミーティング形式オンライン説明会を実施し、投資家の皆様と当社経営陣とのバリューレポートに関する意見交換を行いました。これらの対話を通じていただいたご意見は、2021年4月に公表したマテリアリティKPIの策定において参考にしています。2021年度から会社主催のESG説明会を開催し、ESG 経営に対する当社の考え方や具体的な取り組みについての説明や意見交換を行っています。日常の取材等も通じて収集したご意見を2022年度の見直しに反映するとともに、最も多く頂戴したご意見「患者さんへの貢献指標」については、2023年度のKPIおよび目標値の設定に向けて検討を進めています。
今後もさまざまな機会を捉え、ステークホルダーの皆様との対話を行ってまいります。