困難も捉え方でプラスに変わる。インターン入社から約20年、世界各地でキャリアを積んだグローバルリーダーの歩み
2004年にインターンとして第一三共のイギリス法人に入社して以来、ヨーロッパをメインに世界各地で勤務してきたドイツ出身のManuel Reibergさん。現在は東京にある第一三共本社でスペシャルティ事業企画グループ*1のグループ長を務めています。
Manuelさんが記憶に残る大きなプロジェクトや、困難に直面した時の乗り越え方、業界の最新トレンドを把握する方法などを語ってくれました。
- *1がん以外の疾患領域の事業の企画立案等を行う組織
厳しい状況で、関係者と向き合い得られた成功体験
第一三共で20年近く働く中で、ドイツやオーストリア、イギリスなどに滞在し、今は日本で暮らすManuelさん。
これまでに携わった最も大きなプロジェクトは、2017年に 第一三共UK LTD.の社長に任命された時のイギリス法人の変革プロジェクトです。
「当時、第一三共UKは非常に厳しい状況にあり、2010年にオーストリアで同様の状況を任されたことがあった私は、業績を伸ばすために呼ばれました。私はまず、同社が直面している状況と課題を理解するため、社員や医療関係者、保険者や行政当局を含む様々なステークホルダーの話にしっかり耳を傾けることから始めました。この業界や、とりわけ第一三共で働くことに対する社員の熱意や情熱を深く理解したいと考えていました。」
社員たちと向き合い議論したことで、大きな変化が生まれました。
「私は集めたすべての情報をまとめ、全リーダーと共に3日間の会議を開き、把握した内容に対してフィードバックを行いました。健康格差が大きかった当時のイギリスで、第一三共UKとして、医療へのアクセス改善に貢献し、患者さんの心血管疾患治療の改善や公的医療制度の持続可能な発展に尽力すると合意。全社員と緊密に協力しながらこのビジョンをどう実現していくかを決定し、社員一人ひとりの明確な目的や、チームおよび会社をどのように運営していくかについて意見をまとめていきました。」
この経験は、Manuelさんのキャリアで最も充実したものの1つになったと言います。
「全社員がこの新しいビジョンに真剣に取り組んだおかげで、信じられないほど前向きな力が生まれ、大きな変化と成功を、私自身も、同僚や組織としても実現することができました。同社は今や、イギリスの中規模製薬企業へと成長を遂げました。」
困難にも、成長できると前向きに捉えて挑む
第一三共本社前のManuelさん
輝かしいキャリアを積んでいるようですが、様々な段階であらゆる課題に直面してきたとも明かします。
「そもそもインターンとして入社した頃は、英語も十分に話せないところから始まりました。その後も、それぞれに困難な時期はありましたが、イギリス法人の変革プロジェクトの時のように、上司や同僚たちと協力しながらなんとか乗り越えてきました。仕事上で人間関係に課題が生じた時は、真摯な態度と、尊厳と敬意をもって接し、自分の意図と相手への期待を明確に伝えることが最も重要です。」
「私は、人生とは挑戦の連続だと思っています。アメリカの著名投資家、レイ・ダリオ氏はかつて『苦しみと内省が進歩をもたらす』と述べました。私も『人は経験を通じて成長する』をモットーにしています。困難な状況に身を置かれたときにも前向きな心構えを持つことが、ゆくゆくは一人の人間として成熟・成長し、困難を乗り越える力を高めるのです。」
目標の追求や学習の機会を与え続けてくれる第一三共
Manuelさんは「第一三共は絶えず進化しており、その一員であることはこれまでも今も変わらず常にエキサイティング」と語ります。
「私の目標は、生涯にわたって学び続け、医療制度と社会の持続可能な発展に良い影響を与えることで、一人でも多くの患者さんの生活に貢献することです。非常に幸運なことに、第一三共はすべての目標の実現に取り組む機会を提供し続けてくれています。様々な役割、職能、部門、地域で、私は常に新しいことを学んできました。どれも学びの旅を進めることに役立ってきましたし、これからもまだ旅は続きます!」
独自の文化がある日本での経験は特別
現在日本で働いていることも、大きな成長や学びの機会だと言います。Manuelさんがこれまで滞在してきた地域の中でも、文化的に最も興味深く、手強いとも感じているのが日本なのです。「日本では千年以上の歴史のある伝統が文化や日常生活に深く根付いており、社会や職場での日常的なやり取りでは未だ大きな言葉の壁があります。それでも、これまでの経験を土台に、日本について日々新しいことを学んでいます。」
「日本で仕事をし、生活していると、グローバルな視点から会社の方向性への理解を深め、積極的な働きかけができるようになります。また、家族とともに日本文化に溶け込みながら、組織における異文化理解の向上に貢献できるという特別な経験も重ねられます。日本で働き、生活することは私にとって究極の学習機会なのです。今までとは全く異なる文化や労働環境の中で働き、担当分野である経営戦略に関して様々な新しい役割を担い、戦略的に重要なグローバルプロジェクトに参画しています。これらのプロジェクトはいずれ、当社と組織の長期的な将来像を形作り、決定付けるものとなるでしょう。」
業界のトレンドや動向チェックを欠かさない
担当分野に関する情報収集も欠かさないManuelさん。経営書や、業界に関するメディアの報道、Webサイト、アナリストレポートに目を通すだけではなく、科学・学術機関の論文や、コンサルティング会社の刊行物を読むのも好きなのだそう。それでも、最も重要なことはほかにもあると言います。
「同業者や友人たちとの幅広いネットワークも忘れてはなりません。彼らとの会話や議論は、こうしたトピックが業界や会社に及ぼす影響を考えるヒントになります。このような幅広い情報源は、業界の最新トレンドを押さえておくうえでも役立っています。」
どのような時も楽しみ、挑戦して成長し続ける
最後にかつての自分へのアドバイスとして語ってもらったことは、様々な経験をしてきたうえに、さらに学ぼうとするManuelさんならではの説得力あるものでした。
「人生の目的をなるべく早い時点で見つけられるように努力すること、計画はいずれにせよ変わるので具体的な計画は立てず、その時々を最大限に楽しもう。それから、あまり上手く話せない新しい言語を学ぶことであれ、様々な地域で働くことであれ、多様な文化を経験することであれ、時には辛いと感じられることがあっても、自分に挑戦し続けようということです。
そうしたあらゆる経験を通じて、私や家族は実際に様々な人と出会い、世界に対する幅広いグローバルな視野を育て、異文化への理解を深めてきました。そして真のグロース・マインドセットを育み、仕事の面でも個人としても自分自身を高めることができました。今は日本で生活し仕事をすることで、さらに多くのことを学んでいる最中です。」