DX - データと先進デジタル技術の活用

データとデジタル技術は、第一三共の事業運営や成長のあらゆる場面に不可分なものとなっています。患者さんや医療関係者に届ける価値のあり方、そして世界中の拠点をつなぐ協働のあり方を形づくっているのも、こうした基盤です。しかし、それらだけで変革が実現するわけではありません。それらを使いこなし、新たな価値を生み出す「人」の力があってこそ、変革は実現します。

第一三共のDX部門であるグローバルDXは、この変革を実現する推進力です。『第一三共グループグローバルDX推進ポリシー』および全社のDX戦略に基づき、グローバルでシステムやプラットフォームを開発・導入するとともに、それらを活用した事業変革と価値創出を支援しています。より迅速な意思決定、より確かなエビデンスに基づく判断、より効率的で高度なオペレーション、そして変化に柔軟に対応できる強靭な組織の実現―それが、私たちの目指す姿です。 

 

DXビジョンと戦略

2035 年に向けたDXビジョン

多様なデータと先進デジタル技術を駆使し、第一三共の生産性向上と患者さんを中心とした
サステナブルなヘルスケアの実現に向けたパラダイムシフトを推進する

第一三共は、2026年5月に発表した第6期中期経営計画の「経営の2035ビジョン」に沿った「2035 DXビジョン」を掲げています。創薬研究、臨床開発、サプライチェーン、販売・情報提供までの一貫した製薬バリューチェーン全体を4つの活動により革新し、一人でも多くの患者さんに1日でも早く新薬を届けることを目指しています。

  • 全社的なデータ・デジタル活用力の強化
  • データとデジタル活用によるバリューチェーン全体でのデータ駆動型経営の実現
  • セキュリティリスクの管理と対応の迅速化
  • DX戦略と組織能力の深化

経営戦略と一体で進めるDX

2026年度から2030年度を対象とする第6期中期経営計画では、データとデジタル技術の活用を、持続的な成長と経営戦略の実行を支える重要な基盤の一つと位置づけています。
全社的なデータ駆動型経営の実現に向けて、バリューチェーン全体のデータ・デジタル活用力を強化するとともに、基幹システムの整備や業務プロセスの変革を進めています。これらは、経営レベルから現場のオペレーションに至る、より迅速かつ的確な意思決定へとつながっています。さらにAIをはじめとする技術を活用し、意思決定と業務変革の質とスピードを高め、生産性の向上を目指します。
同時に、事業環境の変化やデジタル技術の進展に伴って高まるセキュリティリスクへの対応を重要な課題と位置づけ、リスク管理体制の強化とガバナンスの深化に取り組んでいます。


第一三共にとって、DXは単なる業務効率化やIT導入ではありません。患者さんや医療関係者への新たな価値提供、持続的な成長、そして株主・社会・従業員をはじめとする多様なステークホルダーへの価値創出を支える、経営戦略上の重要な推進力です。その実行力を高めるため、戦略、組織、人材、データ、テクノロジー、ガバナンスを一体として強化しています。

全社DXを推進する風土醸成と人材育成


経営を支えるDX部門の組織体制

第一三共では、DX部門であるグローバルDXはグローバルコーポレート機能として、最高経営責任者(CEO)による第一三共グループの経営戦略の立案と、その実行・管理を支えています。Chief Digital Transformation Officer(CDXO)を実務執行責任者として、デジタル戦略、データ・AIの利活用、IT基盤、サイバーセキュリティおよびガバナンス強化をグローバルに推進し、経営戦略を具体的な変革へとつなげています。


*DSI:DAIICHI SANKYO, INC.(第一三共 INC.)(アメリカ)、DSE:DAIICHI SANKYO EUROPE GmbH(第一三共ヨーロッパ GmbH)(ドイツ)


データとAIの活用における基本姿勢

第一三共は、データを経営と事業活動を支える重要な戦略資産と位置づけ、高品質なデータを適切に整備・管理しています。これをAI、統計解析などの技術や専門知識と組み合わせることで、製薬バリューチェーン全体における意思決定の精度とスピードを高め、新たな価値の創出につなげています。
データやAIの活用が広がるほど、データの信頼性、倫理、法令遵守、プライバシーへの配慮は一層重要になります。第一三共は、『グローバルデータガバナンスポリシー』と『グローバルAIガバナンスポリシー』に基づき、イノベーションの推進と適切なリスク管理を両立しながら、データとAIを責任ある形で活用しています。




各バリューチェーンにおけるDX事例

創薬研究から販売・情報提供に至るバリューチェーンの各領域における、データ、デジタル、AIの具体的な活用事例をこちらでご紹介します。


アイコン

創薬研究

 

スマートリサーチラボで加速する実験自動化とデータ活用

創薬研究では、ロボット、データ基盤、AIなどを活用するスマートリサーチラボ*の実現に取り組んでいます。定型化されたスクリーニングだけでなく、研究者が設計した多様な実験工程をロボットで実行します。その過程で、使用した材料、機器、手法、温度などの「メタデータ」を取得し、実験結果とともにデータプロダクトとして標準化して保存します。実験結果を電子ノートへまとめる仕組みも整備しています。これにより、実験データの量、実験の効率、再現性、実験結果データの品質向上を目指しています。また、蓄積したデータを活用し、AIによる化合物やその評価のための実験設計の支援についても検討しています。こうした取り組みを通じて、創薬研究のDesign→Make→Test→Analysis(DMTA)、すなわち設計、合成、評価、分析を繰り返すサイクルの効率化と迅速化を支えています。

*AI、Internet of Things(IoT)、ロボット等を活用して、研究機器の自動化や必要な遠隔業務環境の構築を目指す取り組み

 

 

最先端のAIで進化する創薬研究

第一三共では、OpenFold-3をはじめとする最先端のAIモデルを社内環境に導入し、研究者が利用できるアプリケーションとしてクラウド環境上で提供しています。DX部門と研究部門が連携し、研究現場のニーズを迅速に把握しながら、必要に応じてモデルを調整することで、AIを実際の創薬研究業務で活用できる形で展開しています。これにより、化合物設計や評価の高度化を目指しています。

 

AIエージェントが拓く創薬研究データの解析

生成AIは、文章作成だけでなく、創薬研究における計画立案や解析を支援するAIエージェントとしての活用も期待されています。
第一三共では、AIエージェントをバイオインフォマティクス業務に導入し、生命科学データの探索・解析を効率化・高度化しています。実際のデータ解析業務を通じてその有用性を検証し、AIエージェントの強みと課題を確認しながら、創薬研究の現場で活用できる形へと具体化しています。これにより、データ解析や計画立案の高度化を進め、創薬研究のDMTAサイクルをより効果的に回せるようにしています。

アイコン

臨床開発

 

AIでつなぐ、グローバル臨床試験情報の可視化・検索・分析

第一三共は、全社統合データ分析基盤「IDAP」上で、臨床試験の集計・分析を支援する複数のツールを開発しています。これらのツールは、日本、米国、欧州、中国、台湾など、世界各地で臨床試験を担当する700名以上の社員が利用しています。
臨床試験の進捗状況や全体の状況を一元的に可視化することで、重要なリスクや課題を把握し、対応策の検討に活用しています。
さらに、AI機能を組み込むことで、エンジニアやデータサイエンティスト以外の社員も、自然言語(普段使う言葉)を用いて臨床試験情報を検索・分析できる環境を提供しています。
これにより、地域や専門性の違いを越えて情報を活用し、グローバルな臨床開発における意思決定の迅速化を目指しています。

 

リアルワールドデータが支える、より迅速な医薬品開発

リアルワールドデータ*(RWD)は、日常の医療現場から得られる患者さんの健康状態や治療内容などのデータです。第一三共では、全社のRWDを全社で一元管理し、戦略的に購入・活用する環境を整えています。購入したRWDは、全社統合データ分析基盤であるIDAP**に集約しています。クラウド環境を活用し、データの抽出、加工、分析までを一貫して行える環境を整備しています。
RWDは、臨床開発プログラムの検討や承認申請を支えるエビデンスの創出に加え、次の分野でも活用しています。

  • 臨床研究
  • 費用対効果の評価
  • 製造販売後調査

日本では、がんの遺伝子変化を調べるプロジェクトであるSCRUM-Japan疾患レジストリ***のデータを、がん領域の開発品に関する一部変更承認申請を補助する資料として活用し、その有効性に対する臨床的意義を科学的に示した事例があります。米国でも、開発品の承認申請時の参考資料としてRWDを活用しています。
このようにRWDを活用することで、医薬品の価値を科学的に示すための証拠(エビデンス)を、より早い段階で提供できるようになっています。
これにより、医薬品開発と意思決定の迅速化を支え、患者さんに新たな治療選択肢を届けることを目指しています。

*ここでは、実際の医療現場から得られる患者さんの健康状態や治療内容などの情報
**IDAPについては、後続のセクションで詳細に紹介しています
***患者さんに最適な治験薬を届けるために、がんの遺伝子変化を調べるプロジェクト

アイコン

サプライチェーン

 

多様な医薬品の品質管理を支える情報基盤

私たちは、低分子化合物、抗体薬物複合体(ADC)、細胞治療、メッセンジャーRNA (mRNA)ワクチン、核酸など、多様なモダリティ(医薬品の種類・治療手段)を対象に、非臨床試験から臨床試験、製造販売後まで、バリューチェーン全体で品質保証に取り組んでいます。
また、がん治療薬の販売国が拡大する中、各国の規制に適合した品質保証の重要性が高まっています。
こうした複雑化・グローバル化する環境に対応するため、品質管理プロセスを統一し、品質情報をグローバルに一元管理するIT基盤を導入・運用しています。これにより、品質問題への迅速な対応とリスクの低減を図っています。

 

需給生産情報の一元管理による安定供給

当社がん治療薬を提供する国・地域や適応症が広がる中、製品の需要はより大きく、複雑に変化します。こうした変化に対応し、高品質な製品を安定して供給するため、私たちは国内外の自社工場に加え、医薬品製造受託機関(CMO)も活用して製造しています。この製造体制のもとでグローバルな供給計画を立てるため、需給・生産情報を一元管理するIT基盤を導入しました。
自社生産拠点では、スマートファクトリーの実現に向け、製造・品質データ管理システムを導入し、データ共有・分析基盤を構築しています。
これらの取り組みにより、需要の変化に応じた供給計画を支え、患者さんへの高品質な製品の安定供給に取り組んでいます。

アイコン

販売・情報提供

 

安全性情報のタイムリーなモニタリング

私たちは、開発段階から市販後まで、製品の安全性情報を迅速に収集・評価・分析し、必要な情報を提供する体制を強化してきました。特に、がん治療薬では、適応追加や市場拡大、提携先企業との提携に伴い、国・地域を越えた安全性情報モニタリングの重要性が高まっています。この課題に対応するため、データベースの改修や分析システムの刷新を進め、安全性情報の収集から評価、分析、モニタリングまでを一貫して管理できる体制を実現しました。さらに、今後はグローバルでの安全性業務のさらなる効率化と分析能力の強化を目指し、AIによる自動化を組み込んだ次世代データベースへの刷新を進めています。これにより、より迅速かつ高度な安全性モニタリング体制の実現を目指しています。
こうした取り組みを通じて、ファーマコビジランス、すなわち医薬品の安全性情報を継続的に収集・評価・モニタリングする活動を強化し、患者さんの安全を支えていきます。

 

データとAIで実現する、相手に応じた情報提供

第一三共は、医療関係者や患者さん一人ひとりに必要な情報を、適切な内容・タイミング・方法で届けるため、データとAIを活用した情報提供に取り組んでいます。
複数のデジタルチャネルを連携させた情報提供基盤を整備し、医療関係者向けの情報提供履歴を活用しながら、どの情報を、いつ、どのチャネルで届けるかを設計し、相手に応じた情報提供を行っています。
さらに、医薬情報担当者(MR)をはじめとする社員がデジタル・データ・AIを日々の業務に取り入れられるよう、人材育成や実践例の共有にも取り組んでいます。
経験や個別の判断だけに依存せず、データに基づく客観的な検討を取り入れることで、より適切な情報提供を進めています。これらの取り組みを通じて、患者さんの治療に役立つ情報が医療現場に届くことを目指します。

アイコン

全体

 

安心して使える社内生成AIシステム 「DS-GAI」のグローバル展開

私たちは、社内の機密情報とプライバシーを保護しながら利用できる独自の生成AIシステム 「DS-GAI(Daiichi Sankyo-Generative AI)」を開発し、2023年9月に全社展開を開始しました。DS-GAIは、アイデア創出、コーディング支援、文章作成、学習、分析など幅広い業務で活用されています。2026年7月現在、11カ国のグループ会社に所属する10,000名以上の社員が利用しています。また、150を超える社内データセットと接続し、一般の生成AIサービスでは扱えない社内情報を、管理された環境で活用しています。
プログラミングを専門としない社員が、コード生成機能を利用してアプリケーションをカスタマイズするなど、新しいスキルを習得する社員も現れています。運用開始後は、プロンプト入力のヒントや活用事例を共有するサイト、講演会、アイディア創出のワークショップなどを通じて、利用を支援しています。
さらに、利用者の声を反映しながら機能を継続的に改善し、社員が新しい生成AI技術を安全に活用できる環境を整えています。こうした取り組みを通じて、業務の効率化だけでなく、アウトプットの質の向上や社員による新たな価値の創出につなげています。

 

AIを活用できる、組織能力を高める「AI Ready」への変革

私たちは、生成AIを単なるツールとして導入するのではなく、業務改善や新しい働き方につなげるため、人・組織・業務の在り方そのものを見直し、AIを日常的に活用できる「AI Ready」な組織への変革を進めています。これは、AIを活用して既存業務を改善するだけでなく、仕事の進め方や意思決定、組織の協働の在り方を変革する取り組みです。
2030年に向けた将来像の中でAI Readyを重要な要素として位置づけ、外部の知見も取り入れながら、一人ひとりが自律的にAIを活用できる組織文化への変革を進めています。
これらの取り組みは、業務効率や成果物の品質向上に加え、社員同士が新たな働き方を学び合い、そこで得られた知見を組織全体に広げることを目指しています。 

 

現場社員がつくり、学び合うAIエージェント活用

第一三共は、生成AIを個人が利用する段階から、AIエージェントが業務の一部を支援・自動化する段階へ、活用の幅を広げています。
「Agentic AIエージェントフロントランナープログラム」では、プログラミングを専門としない現場の社員が、実際の業務課題を題材にAIエージェントを構築するための教育を受けます。参加者は、プログラムで得た知識や経験を所属組織に持ち帰り、周囲の社員と共有します。参加者を起点に、周囲の社員もAIエージェントを業務で活用するための知識やスキルを身につけ、所属組織全体の活用力向上につなげています。
さらに、構築したAIエージェントや活用事例を部門の枠を越えて発表し合う場を設けています。優れた取り組みを共有することで、現場で得られた知見を全社に広げ、業務改善につなげています。 

 

画像AIで進化する創薬・製剤プロセス

スマートリサーチラボ*実現の一環として、実験装置にAIを組み込み、これまで人が目視で行っていた液体の量の測定や、液体同士の境目(分液界面)の確認をリアルタイムで自動的に行えるようになりました。これにより、実験操作の一部が自動化され、作業の正確性と効率が向上しています。
また、製剤工程では、薬の凍結乾燥処理において、これまで手作業で行っていた工程を自動化することで、開発作業のスピードアップと品質の安定を図っています。
これらの取り組みは、当社が注力するがん領域において、創薬・製剤工程の自動化や工程短縮による原価低減、品質管理の高度化に貢献しており、当社事業を支えています。

*AI、Internet of Things(IoT)、ロボット等を活用して、研究機器の自動化や必要な遠隔業務環境の構築を目指す取り組み

 

業務自動化と市民開発による業務改善

第一三共は、UiPath®やMicrosoft Power Platformなどを活用し、Robotic Process Automation(RPA)*を含む業務自動化をグローバルに展開しています。また、業務に精通した社員が自らデジタルソリューションを設計・実装する「市民開発」を支援しています。
日本でのパイロット運営を通じて構築したモデルをもとに、ガバナンス、トレーニング、技術支援、開発基準を含むグローバルな枠組みを展開し、社員が自ら安全かつ効果的にデジタルソリューションを開発しています。また、実践例や再利用可能なソリューションをグローバルに共有しています。
体系的なトレーニング、実践者同士のコミュニティ、継続的な支援を通じて、社員が学び合い、改善を続ける文化づくりにも取り組んでいます。
こうした取り組みにより、業務上のニーズに応じたソリューション開発の迅速化、社員のデジタルスキルと社内開発力の向上、業務の質と効率の向上を図っています。これにより、社員がより付加価値の高い業務に時間を充てられる環境づくりを進めています。

* PCを用いて人が行う業務をソフトウェアロボットで自動化できるツール


DXを継続的に動かす基盤と体制



情報セキュリティ

DXを支える情報セキュリティへの取り組み

第一三共は、データとデジタル技術を安全に活用し、DXを推進する上で、情報セキュリティ確保を大前提としています。医薬品の安定供給と信頼できる情報提供を支えるため、情報の漏えいや改ざん、生産ラインの停止などのリスクに備え、グローバルな管理体制のもと、情報システムと製造現場の両面で対策を継続的に強化しています。

グローバルな情報セキュリティ管理体制

第一三共は、情報セキュリティに関するグローバルポリシーを制定し、 CDXOを情報セキュリティ管理の責任者と定めています。CDXOが任命する Head of Global Cybersecurityが第一三共グループ全体の情報セキュリティ対策を主導しています。本ポリシーは、当社グループ内の情報や資産に加え、ビジネスパートナーや顧客からお預かりする情報、記録媒体、情報システム、医薬品の製造や出荷プロセスに関わる制御装置やシステム(Operational Technology:OT)などを対象としています。また、第一三共グループ情報セキュリティスタンダードを定め、グループ各社のセキュリティ対策状況を評価し、その結果を継続的な改善に反映しています。

社員一人ひとりの理解を高める教育

情報資源をセキュリティ上の脅威から守るには、社員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、適切に行動することが不可欠です。第一三共では、サイバー攻撃の手口に関する教育、標的型メールへの対応訓練、注意喚起を継続的に実施しています。

サイバー攻撃への対応

サイバー攻撃に対応するため、私たちはHead of Global CybersecurityのもとでComputer Security Incident Response Team(CSIRT)*を運営しています。
また、Security Operations Center(SOC、セキュリティ監視・分析を担う組織)の運用プラットフォームを導入し、AIによるログ分析やインシデント対応を自動化しています。外部のセキュリティパートナーと協力し、24時間体制で監視するとともに、インシデントに迅速に対応する体制を整えています。

*企業等におけるコンピュータセキュリティに関するインシデント対応を行う枠組み

社外組織との連携

サイバー攻撃への対応には、業界や組織の枠を越えた連携が重要です。私たちは、社外の専門組織や他社のCSIRTと知見や情報を共有し、それらをグループのセキュリティ施策の計画・実施に反映しています。こうした連携を通じて、自社の対応力を高めるとともに、社会全体のセキュリティ向上への貢献も目指しています。

製造現場を支えるOperational Technology(OT)セキュリティへの対応

デジタル技術を効果的に活用しつつ、高品質な医薬品の安定供給を実現するため、医薬品の製造プロセスに関わる制御装置やシステムを対象に、Operational Technology(OT)セキュリティを強化しています。
具体的には、製造拠点で推奨するセキュリティ技術施策を整理し、標準的なセキュリティ設計とモデルを作成しています。また、OTセキュリティリスクを特定・管理するための評価・管理プロセスを設計し、各拠点に展開しています。さらに、工場のシステムや設備に関するインシデント対応組織としてOT-SIRTを構築し、具体的なインシデントのシナリオを想定した演習を実施しています。これらの取り組みを通じて、品質管理や安定供給に関わるリスクの低減に努め、患者さんへの医薬品提供を支えています。




経営戦略と連動するDX最適投資サイクル

第一三共では、経営ビジョンの実現に向け、経営戦略とDX戦略を連動させています。経営戦略に基づいてグループ全体のDX戦略を策定するとともに、創薬研究、臨床開発、サプライチェーン、販売・情報提供などの、各バリューチェーン領域においても、それぞれの事業・業務戦略に沿ったDX戦略を立案しています。
これらの戦略を具体的な施策と投資判断につなげるため、DX施策の立案・評価・実行、成果のモニタリングから、IT資産・コストの管理までを一体的に進めるマネジメント体制を整えています。この仕組みは、次の4つの領域で構成されています。


経営戦略に基づくDX優先課題の設定

経営戦略を各事業部門の具体的なDX優先課題に落とし込み、全社および各バリューチェーンのDX戦略と施策に展開します。これにより、DX施策を経営戦略の実現に結び付けています。

戦略に基づくDX施策の評価・承認

新たに提案されるDX施策は、DX部門と経営部門および各バリューチェーンの代表者で構成する委員会が、経営戦略との整合性、期待される価値、戦略上の優先度などに基づいて評価し、優先順位付けと承認を行います。
これにより、個別部門の要望だけでなく、全社的な視点から施策の必要性を確認し、DX/IT投資の優先順位を判断しています。

ポートフォリオとしての進捗・投資管理

承認されたDX施策は、個別に管理するだけでなく、複数の施策をポートフォリオとして一体的に管理しています。
進捗、予算、成果を継続的にモニタリングし、四半期ごとに現状と目指す姿との差を確認します。その結果と事業環境・技術変化に応じて、施策の優先順位や投資計画を機動的に見直しています。

IT資産・コストの可視化と投資配分の見直し

グローバルで稼働するITシステムとその費用を可視化し、各組織がグローバルな視点で自組織のIT資産と投資状況を把握できる仕組みを整えています。
こうした情報に基づき、重複するシステムの統廃合や、経営戦略上の優先度が高い領域への予算の再配分を進めています。
これらの取り組みを通じて、現場のニーズを踏まえながら、個別の要望や年次予算を起点とする管理から、経営戦略との整合性や施策の成果を継続的に確認しながら、施策と投資を管理する仕組みへの移行を進めています。
テクノロジーへの投資が経営戦略の実現につなげ、その進捗と成果を確認しながら、透明性と説明責任をもって投資を管理する体制の構築を目指しています。


 



Healthcare as a Service(HaaS)

HaaS社会到来に向けた準備

「患者さん、家族、社会が笑顔に」――これは、第一三共が描く未来のHealthcare as a Service(以下、HaaS)社会のビジョンです。

一人ひとりのユニークなライフジャーニーに寄り添い、治療だけでなく、健康促進・予防・予後ケアまでを含むトータルケアを実現する新しい社会を「HaaS社会」と定義しています。
この社会では、ヘルスケアサービスや関連データが連携し、個人に最適化されたケアが提供されます。
HaaS社会の実現には、データ活用や先進技術の導入が不可欠です。私たちは、製薬業界をはじめとする医療・健康関連企業、データプロバイダー、テクノロジー企業との連携を通じて、未来のヘルスケアのあり方を分析・予測することが重要であると考えています。
第一三共の存在意義(パーパス)は「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」ことです。この実現のために、短期的なビジネス視点にとどまらず、HaaS社会の到来を見据えた準備を継続的に行っています。
HaaS社会に向けた取り組みの一端として、AI搭載献立支援サイト「ReTabell(リタベル)」を展開しました。


ReTabell(リタベル)の詳細情報はこちら




外部表彰・認定

第一三共は、DX銘柄やDX認定を取得しています。第一三共は、経済産業省のDX認定制度において、「DX認定事業者」として認定されています。DX認定は、デジタルガバナンス・コードの要件を満たし、DXを推進するための準備が整っている事業者を認定する制度です。
また、経済産業省、東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に選定されています。DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業を選定するものです。
詳細はニュースリリースをご覧ください。
「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2026」に4年連続選定 - ニュース - 第一三共株式会社

DX銘柄

DX認定

to Page Top