先輩社員紹介2:
やりたい仕事のために、自ら働きかけ、障がいによる負担を軽くしています。
〈Profile〉
永島 陽子 Yoko Nagashima
研究開発本部 2005年入社
(聴覚障がい)
プロジェクトメンバーとしてさらなる研究へ。
私は入社以来、一貫して新規抗癌剤の研究に携わっています。最初の3年間は、癌細胞に様々な化合物を投与し、その影響を評価する実験を行っていました。複数の抗癌剤プロジェクトから依頼される実験を担当し、プロジェクトをサポートするという立場でした。
現在は一つのプロジェクトのメンバーとなり、マウスによる動物実験を主に担当しています。実験結果からヒトに投与した際の効果を予測したり、その作用を分子レベルで解析し、投与した化合物の作用機作を調べたりします。
プロジェクトのメンバーになったことで、特定の新薬候補化合物の開発に関わっているわけですから、さらに高い研究技術が求められる上に、プロジェクトの中の自分の役割を意識して取り組む必要があり、いっそう専門的でマクロな視点を持つことが要求されるようになってきました。同時に、やりがいも深まってきていますね。
実験三昧だった大学時代、自然と研究職を志望していました。
第一三共の第一印象は、ひとを大切にする会社。
チームでの情報共有は大切。先輩や上司のアドバイスは貴重だ。
幼い頃、風邪をひいた時などに薬を飲んで症状が治まることが、とても不思議に感じられ、「このような素晴らしい薬を創りたい」と素直に思ったことがありました。また、製薬会社勤務の親族がいた影響もあり、自然と薬に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
様々な会社にエントリーしたのですが、第一三共は、面接の時なども含めて障がいに対する配慮が感じられ、ひとを大切にする職場と安心できたことから、入社を決めました。
新入社員として職場である研究所の案内を受けた時も、私が説明を聞き取れないことに先輩社員が気遣って、一つ一つ丁寧に説明を受け、これからどのような毎日を過ごすのかを具体的にイメージすることができ、非常にうれしかったですね。
自ら働きやすい環境づくりに努める。
私の場合、聴覚障がいがあり、音による言葉の識別は難しいです。しかし、唇の動きを読み取ることが出来るため、口をはっきり開けて話していただくことで、1対1のコミュニケーションはスムーズに行えます。口形を読み取れなかったとしても、筆談を交えれば問題はありません。けれども、大勢の人が集まる会議や講習会ではそうはいきません。様々な意見や声があちこちから出るわけですから、離れた所にいる方の口形を即座に読み取ることは容易ではありません。
そこで、会議では、発表者と同じプロジェクトのメンバーが隣に座り、内容について筆談で伝えてもらう流れにしました。この工夫によって、タイムリーに内容を理解できています。また、発表内容をできるだけスライドなど資料に記してもらったり、会議の前に資料を入手して、内容を把握してから会議に参加するといった工夫をしています。周囲の皆さんの協力で、会議の内容の70%くらいは理解できています。
何か困ったことがあると、「こうしていただけると助かります」と上司へ具体的にお願いするようにしています。上司が私の要望をアナウンスすることで、職場の方々も対応してくれます。
また、実験中のアラームを振動で知らせる聴覚障がい者用機器を会社が導入したといったこともありました。これも自分で見つけ、「使わせてほしい」と申し出たことが実現した一例です。最近では、会議に出席する際にスムーズに内容を把握したいと考え、音声認識ソフトに関する情報を自ら積極的に収集し、性能の良い機器が発売されたら導入したいとも相談しています。私自身がより働きやすくなるために、自分から働きかければ会社は応えてくれる。当たり前のようだけど、このようにしっかりとした信頼関係を会社と築けるのは、とても幸せなことだと思っています。
望まれている薬を、一日でも早く患者さんに届けたい。
研究員として一生勤め上げても、その間に世に送り出す薬に携われるかどうかというくらい、創薬は難しく、非常に時間がかかる仕事です。実験一つにしても同じようなことの繰り返しに見えますが、その都度、「結果から何がわかるのか、次にどうしたらいいのか」など、事細かに上司と話し合って取り組んでいます。
根気のいる作業ですが、目の前のことに集中し、実験一つ一つを大切にしていきたいですね。仮に失敗してもそれを引き摺らず、「どこが悪かったのか、どこを変えていこうか」と、結果を振り返る姿勢を意識しています。失敗からヒントを得て、新たな可能性を探っていくことが大切だと考えています。
年々、癌患者さんの数は増えていると言われています。乳癌を患わっている知人がいることもあり、「新しい抗癌剤を多くの方が待ち望んでいる」ことを常に感じながら、研究に取り組んでいます。私が行う実験の一つ一つが創薬研究を支え、ひいては患者さんが必要とする新薬開発につながる。社会貢献性が高く、やりがいもある仕事としてプライドを持って取り組んでいます。
「一日でも長く生きていれば、明日新しい薬が出て、自分も助かるかもしれない。患者さんにとって長く生きることが治療の第一歩」と、癌を患う知人が言っていました。一日も早く、高い効果があり、副作用が少ない新薬を世に出すことに使命感を持って、仕事する毎日です。
作業が一段落し、先輩とホッとひと息。
学生の皆さんへ―
「どんな実験も面白くて気づきがある。やりがいがある仕事ですよ」
第一三共は、自分が質の高い仕事をするために必要なサポートについてしっかりと伝えれば、配慮する会社です。働き易い環境で思う存分、あなたの力を十分に発揮して成果を出していただきたいと思います。「障がいがあるから出来ない」では無く、「こうすれば出来ます」というように、自ら考え、働きかけることが大切です。何事にも、前向きに積極的に取り組んでいただきたいですね。
先輩からのメッセージ
〈Profile〉
研究開発本部 塩瀬 能伸 Yoshinobu Shiose
最近の研究機器は音によりデータ入力や実験終了を知らせるものが多いので、最初はいろいろと苦労があったと思います。でも、永島さんは人一倍がんばり屋さんで、この困難を克服するだけでなく、こちらの意図を汲んでしっかりと仕事に取り組んでいます。あとは体を大切にして、がんばり過ぎずにいてほしいですね。私は入社して20年以上経ちますが、画期的な薬を出せるかもしれない、そんな現場にいられるやりがいを日々感じています。いろんなことを学ぶことができる職場環境ですから、彼女にもどんどん吸収してほしいですし、私も出来る限りのことを伝えていきたいですね。