2022年初め、ある小包が、がん領域担当者を中心とした多くの第一三共グループ社員の元に届きました。中に入っていたのはカードの束。その一枚一枚には、実際のがん患者さんが1人ずつ紹介されており、がんと共に生きる患者さんたちの経験を、垣間見ることができるようになっていました。
別のカードには、第一三共オンコロジービジネスユニットのグローバルヘッドであるKen Kellerさんのメッセージが添えられていました。
「毎日、1日の始めにカードを1枚選び、自分の仕事、情熱、課題が、最終的にカードの患者さん達にどう役立つかを考えるように」
第一三共は、がん患者さん一人ひとりに、自分だけの経験、困難、感じ方があり、ストーリーがあると考えています。そして、同じ病気を患っていても苦しみは人それぞれである、と理解することにより、思いやりの心が育まれると捉えています。
Patient Centricity(患者さん中心主義)のための取り組み
「Patient Journey Cards」と呼ばれるこのカードは、仕事のあらゆる場面において、「思いやりをもって患者さんに貢献する」というグループ内共通の目的を思い起させる力強いツールです。組織内での役割や、患者さんの治療に直接かかわる職種かどうかに関わらず、この目的は全グループ社員共通です。
このカードは、「In Their Shoes(相手の立場になる)」という更なるイニシアチブ(施策)にもつながりました。「In Their Shoes」は、実際の患者さんや患者支援団体の方々と会い、患者さん向けの活動に参加することで、よりPatient Centric Mindset(患者さん中心の考え方)になれる方法を模索する取り組みです。
「In Their Shoes」で、Patient Centricityを促進
このイニシアチブは、患者さん2名と患者ナビゲーター(患者さんに寄り添い、意思決定の支援など、様々なサポートを行う専門家)1名を招き、語ってもらうことから始まりました。がんと診断された時の諸問題に対する考え方や、希望、レジリエンス(自ら立ち直る力)、そして、目的をもって日々に向き合うとはどういうことかについて、お話いただきました。
20代後半で大腸癌と診断された患者さんには、レジリエンスや、診断後いかにして自分を保ってきたかについて。乳がんを克服して15年になる患者さんには、彼女が運営している、「年齢、病期、人種による医療格差をなくすために戦う若い女性たちに教育と支援を行うNPO法人」のお話を、エンパワーメント(患者さんの権利拡大への支援)の事例として、語って頂きました。
専門家の方には、大きな市民病院でがん患者ナビゲーターとして働く中で、どのように治療の障壁を取り除こうとしているかについて、話していただきました。
第一三共でペイシェントアドボカシーを推進するGissooさんはこう語ります。
「Patient Centricityは、第一三共において極めて重要な取り組みです。私たちは患者さんたちのストーリーに命を吹き込み、患者さんたちの視点から世界を見るために、あらゆる手立てを尽くし続けます。患者さんのニーズに重点を置くことは、世界中の患者さんに革新的な医薬品を数多くお届けする上で大切なことへと、私たちの力を集中させることにつながります。」
-Gissoo DeCotiis、Advocacy & Strategic Relationsグローバルヘッド
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第一三共が、組織として患者さんの立場に立って学び、成長し、Patient Centricityを強化し続けることができるように…と、惜しみなく経験を共有してくださった患者さんと患者支援団体の皆さまに感謝しながら、私たちは日々カードを選びます。