「信頼される医療パートナー」を目指して

MR(医薬情報担当者)は医師・薬剤師をはじめとした様々な医療関係者の方々に対し、自社医薬品に係る情報の提供・収集・伝達の役割を担っています。
私たちは、血栓・塞栓症などの循環器領域や、高血圧・糖尿病などの生活習慣病領域、片頭痛やてんかんなどの中枢神経領域、痛みの領域、そしてがん領域にわたり幅広い疾患の治療薬を扱っています。充実した研修体制を通じ、自社医薬品に関する情報のみでなく、疾患・病態に至るまで多くの知識を習得し、様々な疾患を抱えた患者さんを診療される医療関係者の方々のお役に立つ安全性・有効性に関する専門情報から、医薬品を服用される患者さんやそのご家族の方の健康で豊かな生活にお役に立てる情報まで、医療関係者の様々なニーズにあった情報を正しく迅速に、そして丁寧にお伝えすることを心がけています。
また、コンプライアンスに関する定期的な研修、業務記録の作成・管理の徹底を図り、コンプライアンス違反を未然に防ぐ体制の下、適正な情報提供に努めています。
このような活動を継続することにより、MR活動の継続的な改善・向上を目的とした外部機関による医療関係者を対象としたアンケート調査において、全市場・病院市場・開業医市場すべての市場で2023年度もMR活動に関する総合評価第1位をいただきました。
私たちはすべての医療関係者とその先にいる患者さんを思い、一人ひとりに寄り添った情報提供活動を通じて「信頼される医療パートナー」を目指してまいります。

アンケート評価

MR総合評価 2023年
全市場
(全回答医師)
1位
(N=4,226)
病院市場
(病院医師)
1位
(N=2,583)
開業医市場
(開業医師)
1位
(N=1,643)

出所:株式会社インテージヘルスケアによる調査(2024年度2月調査)
※アンテリオより社名が変わりましたが調査会社は2016年から変更ありません。

医療関係者への質の高い情報提供

医薬品はその性格上、ベネフィット・リスクバランスの上に成り立っているため、製薬企業が有効性・安全性に関する質の高い情報を創出し、医療現場へ情報提供することによって適正使用の推進に役立てていくことが重要です。特に新薬の発売当初は、開発段階での有効性・安全性が確認されてはいるものの、医療現場の多様なニーズに応えるだけの情報が十分そろっているとはいえません。当社グループでは、関係ユニットが協力し、それぞれ専門的な視点から必要な情報や不足している情報を特定し、上市後に実施する製造販売後調査・試験など*1から、医療関係者の協力を得て情報を創出しています。その結果を医学専門雑誌、学会発表、適正使用資材などを通じてタイムリーに医療関係者へ情報提供していくことで適正使用を推進し、医療への貢献を目指しています。
なお、製造販売後調査・試験などの実施においては、関係法令やガイドラインの遵守、倫理性、科学性といった観点で確認しています。さらに、医療機関との契約に基づいて行うことで透明性を確保し、利益相反を適正に管理することによって、公正な情報の創出に努めています。

*1 GPSP(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準)省令にて定義された製造販売業者が医薬品の品質、有効性及び安全性に関する情報の収集、検出、確認又は検証のために実施する調査又は試験

医療関係者からの情報収集とフィードバック

国内医療関係者から収集する市販品や治験薬の副作用などの安全性情報は年間約35,000件以上、国外提携会社からの情報を含めると年間約100,000件の情報が集まります。安全管理統括部門では、これらの情報をグローバル安全性データベース管理システムに入力して評価を行い、規制で定められた基準に従って遅滞なく規制当局へ報告しています。さらに安全性情報に関する分析をグローバルで行い、得られた最新情報を医療関係者にフィードバックしています。

情報収集・提供の流れ

情報収集、提供の流れのイメージ図

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患者さん・医療関係者の方々からの問合せ対応

製品情報センターは、医療関係者や患者さんから当社医療用医薬品に関するお問合わせを日々受け付けており、月に約5,000件、年間では約6万件に及びます。その一つ一つに対し、関係法令や業界コード等を遵守し、お問合せいただいた方に寄り添う誠実な応対を心掛けています。2022年度からは、より専門的なサポートを提供するため、製品情報センターの応対者を領域制に変更し、各分野の専門知識を有する応対者が直接、そして今まで以上に的確かつ迅速に回答できる体制を整備しました。さらに、お問合せの背景を理解した上で医薬品情報を調査し、正確にわかりやすく説明できるよう、医学・薬学知識の研鑽に加え、質問スキルや説明スキルなどの研修を日々受講しております。
お問合せ対応には、人工知能(AI)をはじめとした多くの技術・システムを導入し、活用しております。即座に最適なQ&Aを応対者に提示するシステムや、お問合せの製品ごとに専門性を持つ応対者に直接お繋ぎする音声認識システムなどもその一部です。また、テレワーク環境下においてもお問合せ対応が可能なシステムを導入し、どのような状況下でも可能な限り継続した応対ができるようにしております。
一方、製品情報センターへお問合せいただかなくても情報を入手いただけるように、2021年10月よりAIを活用したDIチャットボット「いつでもDI24」を医療関係者向けサイトへ新たに公開し、以前より掲載されている「よくある質問(Q&A)」とともに、24時間365日、的確な情報が入手できるような環境を整えております。
これらの取り組みにより、保険調剤薬局の先生方を対象としたコールセンター評価調査*2において、2015年度より2023年度まで9年連続第1位の総合満足度評価をいただいております。
今後も、製品情報センターでは、医療関係者や患者さんから寄せられるお問合せにお応えするだけでなく、お問合せやご要望を貴重なご意見として社内に共有し、さらなる改善につなげていくとともに、人とデジタルの融合により、製品情報を正確・迅速・簡便に入手・活用いただける環境を整えることを通じて、医療に貢献してまいります。

*2 外部調査会社の委託による調査

【VOICE】お問合せいただいた方の期待に応える照会対応を目指します

第一三共株式会社
日本事業ユニット 医薬営業本部
製品情報部
製品情報センター第ニグループ
和田 雅子

製品情報センターは医療関係者や患者さんから寄せられる当社製品に関するお問合せ対応を担当しています。私たちは、お問合せいただいた方に寄り添い、期待に応える照会応対を目指し、「専門性の高い情報提供」「応対品質の向上」「お客様の声の活用」に取り組んでいます。 お問合せの背景を理解し、その先にある真のニーズは何かを考え、皆様のお役に立つ情報を提供することを目標に日々照会応対を行っています。また、より専門性の高い情報提供を行うために、各種研修を通じた知識習得に努めています。
医療関係者や患者さんからのお問合せの99%は電話にて寄せられます。皆様の声に耳を傾け、お問合せいただいた方だけでなくその先にいらっしゃる方にも寄り添ったお話が出来るよう、応対品質の向上にも取り組んでおります。そして、いただいた貴重な声を社内にフィードバックすることで、育薬や製剤の改良につながった事例もありました。 お問合せいただいた方々のお困りごとの解決に貢献し、信頼される医療のパートナーとなれるように、これからも期待に応える照会応対を目指してまいります。

製品情報センターへのお問合せ件数(患者さん、医療関係者)

製品情報センターへの問合せ内容分類(2023年度)

「お客様の声」を活かす仕組み

私たちは、患者さんや医療関係者から寄せられる「お客様の声:VOC(Voice of Customer)」を何よりも貴重な情報と考えており、製品情報センターに日々寄せられる「お客様の声」を丁寧に収集し、分析・評価を行っています。この情報は、VOCポータルを通じて社内へ迅速に共有され、新たな問題点の特定や改善策の提案に活用されています。
私たちは、これらの情報から抽出された医療の多様な医療ニーズや、問い合わせの背景にある臨床的な疑問(クリニカルクエスチョン)を明らかにし、それを解決する手がかりを見つけ出します。そして、その結果を製剤や包装の改良に反映させることで、具体的な解決策を形にしています。その一部は、第一三共ウェブサイト内の「皆さまの声をかたちに」コーナーにて公開しています。
私たちは、お客様の声を活かしたより良い製品の創造を通して、医療環境の変化に素早く対応し、社会に貢献することが弊社の使命だと考えています。今後も皆さまからの貴重な意見を大切に、より良い製品作りに努めてまいります。

「皆さまの声をかたちに」は、こちらをご覧ください。

パンデミックにも負けない治験薬の安定供給

当社は患者さんや医療関係者の方々とのコミュニケーションを通じて、医療現場における真のニーズに寄り添い、安定的な治験薬の供給に努めています。 2019年初頭から世界は新型コロナ感染症による社会的な混乱の最中にあり、治験に参加されていた患者さんは、ロックダウンや病院の満床等により医療機関を訪問できなくなり、治験薬の投薬が継続できなくなる恐れがありました。特に抗がん剤の治験のように、投薬を中断することが命に関わる可能性のある患者さんもいらしたと思われました。そんな中、患者さんや医療関係者の方々からのご要望を頂き、当社では速やかに投薬を継続させるための治験薬供給の新体制を構築しました。具体的には、医療機関との連携により、患者さんが遠くの治験施設を訪れなくても、家や近隣の病院で治験薬を受け取る、または投与を受けることができる仕組み(Direct to Patients)を確立しました。こうしてコロナ禍においても、国内外の被験者さんに無事治験薬を届けることができました。
このように、困難な状況にあっても患者さんや医療関係者の方々に安心して治験に参加して頂けるよう、先進的な取組みにも果敢に挑戦してまいります。

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