世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献するためには、社員一人ひとりの健康・安全が不可欠です


代表取締役社長兼COO
最高健康経営責任者
奥澤 宏幸

「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」という第一三共グループのパーパスの実現に向けて、会社と社員が共に成長し続けるためには、そこで働く社員の心と体の健康・安全の確保が不可欠です。そのため、第一三共グループでは、社員一人ひとりがいきいきと働き能力を最大限に発揮できるよう、社員の健康・安全を重要な経営課題の一つとして捉え、「健康宣言・安全宣言」を掲げて、様々な施策を推進しています。
こうした会社としての想いをより強く発信し、経営と社員が同じ意識のもとで健康・安全の保持・増進に取り組んでいくため、2021年10月から国内グループにおける健康経営を統括する「最高健康経営責任者」を設置し、私がその任にあたり取り組んでいます。健康・安全な職場づくりにおいては、私たち一人ひとりの健康・安全への意識や主体的な取り組みが不可欠です。私たちのパーパスの実現のため、より一層健康経営に力を入れて推進していきます。

健康宣言・安全宣言

「第一三共グループの企業理念およびビジョンの実現に向けて会社と従業員が共に成長を遂げるためには、従業員の心と体の健康・安全が不可欠であり、第一三共グループは、全ての従業員が安全に就業し、健康を保持・増進するための環境づくりに積極的に取り組むことをここに宣言します。」

健康については、「ウェルビーイング(精神的、身体的、社会的な健康)を育むことにより、社員が活力に満ち、成長できる環境を醸成する」というピープルフィロソフィーに基づき、第一三共グループ健康保険組合・第一三共グループ労働組合連合会と連携して、国内グループ会社社員の健康保持・増進に取り組んでいます。 このような人材への取り組みを通じて「人的資本」を最大化し、それを持続的な価値創造の原動力として、パーパスの達成を目指しています。

第一三共グループのピープルフィロソフィーに基づいたウェルビーイング

※ピープルフィロソフィ―全体の内容はこちらを参照ください。

EHS経営推進体制

第一三共グループでは、EHS*経営委員会にてグローバルでの健康・労働安全に関する方針・目標・施策を定めています。国内グループ会社においては、最高健康経営責任者をトップとした健康経営推進体制を敷き、会社と労働組合で合意した安全衛生管理の中期方針に基づいた安全衛生施策を推進しています。

* EHS:Environment, Health and Safety(環境・健康・安全)

第一三共グループの健康経営推進体制

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安全衛生管理の中期方針

第一三共グループでは、グローバルで健康・労働安全戦略を策定し、社員の健康増進と安全の確保に取り組んでいます。
国内グループ会社でも、経営課題に対応した施策とその期待成果を図示化した健康・労働安全戦略マップに基づき、安全衛生施策を推進しています。
健康・労働安全戦略マップでは解決すべき課題として、「従業員一人ひとりの生産性の向上」と「安全で快適な職場形成」を掲げており、これらを解決することで経営戦略の実現、ひいてはパーパスの実現を目指しています。

健康・労働安全戦略マップ

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健康・安全に関する取り組み

第5期中期EHS経営方針(2021~25年度)に基づき、「働きがいのある職場づくり」の実現を目指して取り組んでいます。

健康に関する国内グループ方針:
  • ①社員の健康増進
  • ②快適な職場・作業環境の整備
  • ③労働安全衛生対策の強化
  • ④教育・コミュニケーション

健康増進については、重点領域を「生活習慣病、がん、メンタルヘルス、運動機能」に設定し、社員の健康増進を図っています。また労働安全については、2021年4月より、全拠点で労働安全衛生マネジメントシステムを導入し、労働災害の未然防止および労働災害発生時の被害の最小化を推進し、社員の安全の確保に取り組んでいます。
2017年に国内グループ会社における健康課題を把握するため、各種健康関連データを多面的に分析した結果、健康上の課題に対して改善のための行動を自発的に起こさない、または改善する意識がないという社員が少なからずいるということが明らかになりました。
そこで、国内グループ会社では「健康意識の向上」を重要課題とし、評価指標・目標を設定したうえで、目標達成に向けた取り組みを強化してきました。こうした2020年度までの取り組みにより、一定程度の改善行動が定着したと判断し、2021年度からは社員の生産性向上を目指し、健康保持・増進に係る新たな評価指標(下図参照)・目標を設定し、外部のコンサルタントとも連携しながらさらなる健康経営の推進を図っています。

評価指数(2021-2025年度)

評価指標
DSグループ基準値(年度)
実績 DSグループ目標値
2023年度 2023年度 2024年度 2025年度
アブセンティーイズム
(全社員のうち30日以上の私傷病休業者)
   99人 (2019) 126人 中期的な目標設定とし、
単年では設定しない
80人
プレゼンティーイズム*1
18.3% (2020) 16.0% 14%
有所見者率 脂質 40.6% (2019) 38.8% 30%
血圧 22.9% (2019) 20.4% 16%
肝機能 21.3% (2019) 17.2% 15%
転倒・転落労災発生数    24件 (2018) 16件 12件
高ストレス者率   4.0% (2020) 4.3% 3.0%
健康イベント参加率   8.1% (2020) 35% 35% 40%
特定保健指導実施率 39.6% (2019) -*2 (65%) 65% 70%
喫煙率 16.9% (2019) 10.3% 10% 9% 8%

*1 SPQ(東大1項目版)で測定
*2 DSけんしん開始に伴う実施時期変更のため

上記評価指数以外の数値はESGデータを参照

労働安全衛生に関する制度・取り組み

  1. 生活習慣病
制度・取り組み 概要
ウェアラブルデバイスの活用 ウェアラブルデバイス(Fitbit)を活用し、健康の見える化を図り積極的に社員の健康増進を支援しています。
生活習慣病セミナーの開催 社員およびその家族に対し、専門医を講師として社内セミナーを開催し、健康リテラシーの向上を図っています。(2024年度は高血圧、脂質異常症、片頭痛を予定)
  1. がん
制度・取り組み 概要
禁煙推進 2021年4月にCEOから2030年に喫煙率ゼロを目指す禁煙宣言を社内外に発表しました(詳細はこちらをご参照ください)。敷地内、就業時間内禁煙などの環境整備に加え、役員や組織長の率先垂範により、積極的な禁煙推進を図っています。また、オンライン禁煙外来プログラムの費用を補助(総額約66万円)し、参加者の91%が禁煙を達成しています。
DSけんしん これまでの定期健康診断と人間ドックを統合し、法定健診項目とがん検診項目の両方を包含した当社グループ独自の検査体制を「DSけんしん」とし、全社員を対象に実施しています。(2023年度 定期健康診断受診率 100%、有所見者における精密検査受診率 78.1%)
安心して受診できる環境を整備するために「DSけんしん休暇」を新設し、全従業員へ受診を勧奨しています。また、健康保険組合と協力して被扶養者にも受診を推奨しています。
仕事と治療の両立 仕事と治療の両立を目的として、通院型がん治療における療養休暇の一日単位または半日単位での分割取得を導入しています。また、がんについての基本的な知識や安心して働くための会社の支援制度を紹介する「がんと向き合うガイドブック」を作成し、提供しています。また、がん以外の治療についても分割取得制度を導入しています。
  1. メンタルヘルス
制度・取り組み 概要
長時間労働対策 長時間労働者に対する医師面接を実施し、事後措置対象者には、産業医・上長と連携し個別指導を徹底しています。また、長時間労働を抑制するために、年間所定外労働時間の上限設定、勤務間インターバルの確保、有給休暇取得促進にも取り組んでいます。
こころの健康づくり ストレスチェックを実施し、高ストレス者・高ストレス組織に対しては個別のフォローを実施しています(2023年度国内グループ会社 ストレスチェック受検率 96.9%)。また、セルフケア*3・ラインケア*4に関する研修を実施するなど、不調者発生の予防に取り組んでいます。外部のメンタルヘルスカウンセリングと契約し、いつでもカウンセリングが受けられる体制を取っています。さらに、レジリエンスやセルフ・コンパッションに関する研修を実施し、各自の心の健康づくりを推進しています。全従業員に対して、心身の状態変化を早期に把握、対応する体制も整えています。2023年度のエンゲージメント調査結果平均は75(Wevox総合スコア)でした(22年度平均は74)。
職場復帰支援制度 傷病による療養休暇や休職に対する円滑な復職と再発防止を目的として、職場復帰支援制度を運用しています。この制度に基づき、産業医や産業保健スタッフの関与のもと、体調不良者の復職中におけるフォロー・復職判定・復職後のフォローを実施しています。

*3 社員自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを適切に対処して、予防・軽減につなげること
*4 部下と日常的に接する上司が、心の健康のために職場環境などを改善することや部下からの相談に対応すること

  1. 運動機能
制度・取り組み 概要
からだの健康づくり 社員の健康増進を図るため、多様な対策を実施しています。
  • Walking Campaign and Photo Contest
    運動不足の解消とメンタルヘルスの向上を目的として、ウォーキングと写真コンテストを組み合わせたグローバル共通の施策に取り組んでいます。
  • One DS 体操
    第一三共グループオリジナル体操「One DS 体操」を制作し、2022年度にグローバルに展開しました。各事業場ごとに体操イベントを実施し、開催後のアンケートでは、とても満足・満足と回答した社員は83%、今後も体操を実践しようと回答した社員は87%で、社員が前向きに取り組んでいることが分かりました。
  • 健康保険組合との連携
    健康保険組合とも協力したウォーキング、個人向けの健康情報提供ポータルMY HEALTH WEB(マイヘルスウェブ)を含め、多様な健康施策を提供しています。
    社員のヘルスリテラシーについては、食生活の改善に取り組んでいる社員は13%、これから取り組む意思のある社員は26.3%であり、運動習慣の改善に取り組んでいる社員は24.0%、これから取り組む意思のある社員は28.3%です。多くの社員が健康に関する高い意識を持ち、改善や維持向上を目指せるよう継続して支援を行っています。
  1. その他健康施策
制度・取り組み 概要
女性の健康 女性の健康サイト「DSフェムケア」を立ちあげ、社内サイトで情報提供をしています。セミナーや産婦人科専門医の解説動画を通じてリテラシーを向上および行動変容を促すとともに、周囲も理解を深め多様な社員が健康で働きやすい職場環境の整備に努めています。2023年度は380名を超える社員(国内グループ全社員の4.2%)が女性の健康に関するセミナーに参加しました。婦人科や小児科の専門医にも相談できる女性の健康相談窓口も社外に設置しています。
団体長期障害所得補償制度(GLTD) 万が一の就業不能リスクに備え、病気やケガで働けなくなった人に、最長、定年まで一定の割合で収入補償を行う制度を導入しています。/td>
  1. 安全
制度・取り組み 概要
労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS) OHSMSのさらなる定着を図るため、2023年度には人事部と国内外の各事業場の担当者間で対面またはオンラインでの面談を実施し、OHSMSの目的・重要性に関する再確認を行った。さらに2024年度から各拠点が必要に応じて自分たちの課題を自律的に解決したり、成功例(失敗例)を他の拠点のために積極的に発信し、グループ全体のレベルアップを図るためのコミュニケーション活性化施策をグローバルで実施している。
安全衛生研修
【化学系安全教育】
  • 開催:年2回の全体研修
  • 対象:合成系研究者
  • 内容:法規制に沿った適切な試薬の管理、事故防止、および化学系コンプライアンスの遵守の徹底を目的とした教育研修を実施
【動物実験】
  • 開催:初回登録時、及び年1回の全体研修
  • 対象:動物実験施設内の構成員
  • 内容:動物実験関連法規に則った適正な動物実験実施、動物福祉、および職業安全衛生の徹底を図る教育研修を実施
【RI】
  • 開催:初回登録時、及び年1回の全体研修
  • 対象:放射線業務従事者
  • 内容:放射線障害を防止するために必要な教育および訓練を実施

健康経営の普及活動

年月 内容
2024年9月 健康経営会議実行委員会と共同で「健康経営実践勉強会」を開催し、「健康経営の国際化」をテーマに、Walking Campaign and Photo Contest等の取組みについて紹介。
2024年7月 取引先を対象として「サステナビリティ研修」を開催し、第一三共グループの健康経営の目的・課題・施策等について説明。
2023年9月 「健康経営実践勉強会」において、「スポーツ・運動習慣の作り方」をテーマに、One DS 体操等の取組みについて紹介。

社員一人ひとりの健康づくりを促進する、第一三共グループオリジナル体操「One DS 体操」を制作・展開

世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」という当社グループのパーパスを実現するため、そして社員一人ひとりが健康でいられることを目的に、第一三共オリジナル体操「One DS 体操」を制作しました。

One DS 体操
OneDS体操ロゴ

「健康経営銘柄2024」、「健康経営優良法人2024~ホワイト500~」に認定

当社は、経済産業省が実施する「健康経営度調査」において、「健康経営銘柄2024」に選出されました。また、当社は2018年から7年連続で、「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されました。(当社グループとしては4年連続となります)

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