患者さんが使いやすい新剤型の開発
飲みやすい、使いやすい薬で患者さんの安全・安心をサポートしたいという思いから、これまで培ってきた製剤技術を駆使し、使用する方に寄り添った製剤開発に継続して取り組んでいます。これまでに患者さんが服用しやすい製剤として、抗凝固剤などのOD錠(口腔内崩壊錠)や抗インフルエンザウイルス剤のネブライザー製剤(吸引器)を開発し、上市しています。また、製剤や包装の工夫を加えたジェネリック医薬品を上市することで、利便性を向上しています。
患者さんの安心・安全な服薬を目指して
自覚症状が少ないことから薬物治療継続率が比較的低いとされている骨粗鬆症治療において、治療継続率の向上による寝たきりのない社会への貢献を目指し「投与時期お知らせカード・シール」や次回治療日や過去の検査結果、気になる症状などを記入する「サポート手帳」の提供、次回投薬予定日を手紙やメールでお知らせする「投薬時期お知らせシステム」を構築し治療継続のサポートを行っています。約14万人の方がこのシステムへ登録しており、これらの治療継続サポートを行うことで12ヶ月治療継続率は約90%、18ヶ月治療継続率は約80%と高く、多くの方の骨粗鬆症治療の継続サポートにお役立ていただいています。
吸入薬の服用に際しては、吸入に必要な「吸う力」を確認するための「笛」を医療機関へ提供しています。医療関係者による服薬指導の際のサポート、服薬に対する患者さんの不安を少しでも軽減することを目的としています。特に小さなお子様をお持ちの親御さんの安心感につながっているとの反響をいただいています。
また、患者さんの飲み間違いの防止・識別性の向上や服薬コンプライアンス向上を目指し、医薬品名の両面カタカナ印字製剤や水なしですばやく溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)を提供しています。
患者さんが安心して治療していただけるサポート体制の充実や製剤・表示・包装の工夫による患者さんの安心・安全な服薬サポートに貢献してまいります。
DXを通じた患者さんへの貢献
患者さんや生活者一人ひとりのLife Journeyに寄り添い、ヘルスケアソリューションを提供したいという思いから、DTx*開発に取り組んでいます。患者さんの困りごとやニーズを継続的に調査し、DTx開発に反映するとともに、DTxで患者さんの在宅時を含む治療空白期間を埋め、身体的・精神的・社会的な側面でWell-Beingにつなげていくことを目指しています。まずはがん領域での早期医療機器承認、保険適応を目指し開発に取り組んでいます。
* 当社グループが考えるDTxとは、有用性のエビデンスに基づき患者さんに直接的に医療介入(治療、管理、予防)を行うソフトウェアで、医療機器としての認可(製造販売承認)を見据えて開発しています。
DX - データと先進デジタル技術の活用については、こちらをご覧ください。
患者団体等との連携
薬を育てる活動
当社製品の新しい医療情報を生み出し、薬を育てる活動を推進しているメディカルアフェアーズ活動はPatient Centricityに大きく貢献しています。
メディカルアフェアーズ活動の詳細については、こちらをご覧ください。
Global Oncology Medical Affairsの取り組みの詳細についてはこちらをご覧ください。
患者さんとの交流
当社のCOMPASS("Compassion for Patients” Strategy)活動は、コーポレートスローガンの"Compassion for Patients(ひとに思いやりを)"に基づいて、世界中の人々の『笑顔のある生活』の実現に貢献するため、患者さん・医療関係者との双方向コミュニケーションを通して、第一三共グループ社員が患者さんの生活・困りごと・望む姿を知り、自分たちに何ができるかを考える機会を提供し、その実現をサポートしています。研究開発本部では2014年から病院研修や講演会等を実施し、患者さんや医療関係者と社員が直接交流する機会を設けています。
COMPASSの活動事例
ドキュメンタリー映画「奇跡の子供たち」の上映会
希少難病のAADC欠損症患者である子供たちとそのご家族の日常と、画期的な治療法である遺伝子治療を受けることによって生活が改善していくまでの10年間を追ったドキュメンタリー映画「奇跡の子供たち」の上映会を行いました。当社では2020年から米国のUltragenyx Pharmaceutical Inc.と遺伝子治療に関する提携を開始しており、業務に携わっている社員が遺伝子治療と難病の患者さんの実情を知る貴重な機会となりました。
DS茶話会の実施―患者さんとの対話―
これまで患者さんによる講演会の開催など、当社社員と患者さんが交流を図るためのさまざまな取り組みを実施してきましたが、社員にとっては緊張や遠慮によって率直な質問ができない、本音が言えない・聞けないといった課題があったため、2021年からは少人数で対話を行う「DS茶話会」を実施しています。参加いただいた患者さんからは「製薬会社に対して温かいイメージを持てるようになった」とのコメントをいただいたほか、当社社員にとっても仕事の意義を再認識し、患者さんの立場やニーズをより詳しく知ることができる重要な機会となっています。
創薬活動におけるPatient Engagementガイドブックの作成と社員への啓発
この数年間で、患者さんの声を医薬品の研究開発に取り入れることの重要性・必要性は世の中でもよく議論されるようになりましたが、製薬企業の社員が患者さんと直接交流する際には個人情報保護の観点や法律上気を付けなければいけないことがあり、なかなか行動に移せないという実態がありました。そこで、製薬会社の社員が医薬品の研究開発の一環として患者さんと交流する時に、法律や倫理上気を付けるべき点や互いに信頼関係を築くために必要なことを武田薬品工業のPCET(Patient Centricity Expansion Team)と共同でとりまとめ、患者会にも監修していただいて『創薬活動におけるPatient Engagementガイドブック』を作成し公開しました。
Patient Engagementガイドブックリンク:https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/ourstories/pdf/220905PEGuidebook.pdf"
2021年6月には患者支援団体の代表と大学の先生をお招きしてPCETと共同でPatient Engagementの理解と行動を促進することを目的としたパネルディスカッションを開催し「そもそもなぜ創薬にPatient Engagementが必要なの?」というテーマから「新型コロナの対応の中でのPatient Engagement」まで幅広く議論を行い、両社合わせて600名以上の社員が聴講しました。
DIA日本年会でのCOMPASS活動
2020年、リモート開催されたDIA(Drug Information Association)日本年会で、難病のお子さんのご両親にお子さんの誕生から今に至る日々で折々に感じたことをお話しいただき、グラフィックファシリテーションの手法でpatient journey mapを作成するセッションを行いました。セッションの中で患者会、医師、規制当局及び製薬会社社員も交えて参加者が小グループに分かれて患者さんとそのご家族の困りごとに対して、明日から自分に何ができるか当事者意識をもって話し合いました。参加者からは「患者さんにとって当たり前のことがわかっていないことに気づいた」、「患者さん一人ひとりを感じて、寄り添う製薬会社でありたい」などの声が寄せられ、あらためて病に苦しむ患者さんの力になりたいという強い思いを感じた一日となりました。 2021年のDIA日本年会では、前述のPatient Engagementガイドブックの紹介とともに、創薬の研究段階からPatient Engagementを行うことの大切さについて、大学の先生、患者会代表、そして武田薬品工業のPCETメンバーとパネルディスカッションを行いました。患者会の代表者からの「治療をするために生きているわけではなく、やりたいことをやるために生きている」とのコメントは、「人々の健康で豊かな生活に貢献する」当社のパーパスを改めて考える機会となりました。
COMPASS活動について
病気の先にある「患者さんの生活」を考える ―Our Stories―
一人の人間として感じ、考え、行動するきっかけを。患者さんとの対話イベント「Healthcare Café」を開催 ―Our Stories―
Patient Centricityに向けた取り組みのコンテンツ