グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」への参画とパートナーシップの活用
当社は、これまでに蓄積された科学的知見およびグローバルなネットワークを最大限活かすためにパートナーシップによる創薬を推進しています。当社単独では達成困難な取り組みも、パートナーシップにより相乗効果を引き出すことが可能となります。
これは国連加盟国が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に資する活動です。 当社は、開発途上国における感染症を征圧するための創薬促進に向け、2013年4月に日本国政府、製薬企業5社、ビル&メリンダ・ゲイツ財団による日本発の官民連携パートナーシップとして設立された公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund、以下「GHIT Fund」)に設立時から資金拠出し、2023年4月からの第三期においても第一期および第二期に引き続き、資金を拠出しています。GHIT Fundは投資活動を通じて多くの革新的な製品開発を飛躍的に前進させています。
当社グループにおいてもGHIT Fundの仕組みによるパートナーシップを活用し、これまで培ってきた創薬力、パートナーの疾病に関する高い専門性、そしてGHIT Fundの投資力やグローバルネットワークを結集することで、顧みられない熱帯病(NTDs *1)の1つとして知られるシャーガス病治療薬の探索や、天然物による結核治療薬の探索など複数のプロジェクトに取り組んでいます。
当社は、医薬品の創出や開発途上国における医療アクセスを改善する取り組みを通じ、企業理念の実践に資する活動を継続していきます。
- *1Neglected Tropical Diseasesの略
公益社団法人 グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」
AMR Action Fundへの参画
耐性菌の出現と蔓延は世界的な公衆衛生上の大きな課題となっています。今、適切な対策を取らなければ、2050年には全世界において年間約1,000万人が薬剤耐性(AMR*)菌による感染症で命を落とすと推測されています。このような背景から、2020年7月、新規抗菌薬の臨床開発の支援と持続的な抗菌薬市場の実現のためにAMR Action Fundが設立されました。同ファンドは、複数の小規模なバイオテクノロジー企業に対し、総額10億米ドルの投資や技術的支援を行うことで、2030年までに新規抗菌薬を2~4剤製品化することを目指しており、2023年12月末の時点で、計7社への投資が公表されています。当社は、本ファンドに総額2千万米ドルを拠出することで、革新的な抗菌薬の開発を促進し、世界のAMR問題をいち早く解決できるよう貢献しています。
*Antibacterial Resistanceの略
AMR Action Fund
次世代バイオ医薬品製造技術研究組合における研究成果活用の推進
次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合)に2013年より参画しており、世界トップレベルの生産性(抗体産生能、増殖速度、培養時の安定性)を有する新規CHO細胞株*(CHO-MK細胞)を開発し、社内で開発中のバイオ医薬品製造への活用を推進しています。
また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」の研究開発課題の一つである「国産高機能抗体産生細胞株の社会実装に向けた技術開発」にMAB組合の一員として2021年より参画し、CHO-MK細胞を用いた国内における抗体製造基盤整備を支援しています。
- *チャイニーズハムスターの卵巣細胞(Chinese Hamster Ovary)由来の細胞株。抗体医薬品の製造に広く使用されている。
OiDEプロジェクト
主に日本のアカデミアから創製される画期的なシーズをインキュベートすることを目的として、三菱UFJキャピタル、独立行政法人中小企業基盤整備機構などと共同で投資ファンド(OiDEファンド)を設立・運営しています。これまでにOiDEファンドで投資を行った5件について、新しい創薬シーズ・技術の研究開発を進めております。なお、現在OiDEファンドからの新規投資は行っておりません。
OiDEプロジェクトの詳細は下記サイトをご覧ください。
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