勉強会のスピーカーの皆さんと、主催した当社人事部、Patient Centricity担当者

「病気と仕事、どう両立する?」患者さんの目線で考える。人事部主催でPatient Centricity 勉強会を開催

2024年11月22日
Patient Centricity
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第一三共グループは第5期中計の戦略の柱に「ステークホルダーとの価値共創」を掲げ、Patient Centric Mindsetによる患者さんへの貢献に取り組んでいます。その一環として7 月29日、「病気と就労」をテーマにしたオンライン勉強会が、人事部主催で行われました。

医薬品のエンドユーザーである患者さんと、業務上直接接する機会のない業務に携わる製薬企業の社員にとって、Patient Centric Mindsetの第一歩は、病気を抱える患者さんや周囲の方々の思いを自分事として捉えること。勉強会では「もし病気を告知されたら?」「病気と仕事を両立するには?」など、気になるポイントについて登壇者にお話を伺うとともに、パネルディスカッションでは家族や同僚の中にも普通に存在する「患者さん」という存在や当社グループの貢献のあり方について、ディスカッションを行いました。

がん研究会有明病院 CRC ボードメンバー 山崎 真澄さん

告知から受容まで。もしもあなたが「がん」と告知されたら

一人目の登壇者は山崎真澄さんです。公益財団法人がん研究所有明病院でCRC(治験コーディネーター、Clinical Research Coordinatorの略)およびがんゲノ ム医療コーディネーターを務める山崎さんは、がんの告知を受けた患者さんの心理をひもときます。一般的に「否認」「怒り」「取り引き」「抑うつ」「受容」という5段階の気持ちの変化があることが知られますが、「実際には一つひとつの気持ちが順々にではなく、ミックスされた状態で訪れることが多いです」と医療従事者としての実体験をもとに話します。

ある患者さんは、がんの転移により手術ができないとわかった時や治療を中断しなければ ならない時などにさまざまな心理の表れがありました。「『病気の告知を受けることは徐々に健康が失われ、社会の主流から外れ、社会的価値が失われることである』という患者さんの誤解を解消できる社会をつくっていく必要があります」。

そのカギを握るのが、患者さんに寄り添うことです。「治療をしながら本当に働けるのか」「復職したいが以前のように働けるか不安」といったさまざまな悩みを家族や同僚がどう受け止めるか、また患者さん本人が、周囲からどのように受け止めてほしいかを発信することも大事だと山崎さんは話します。

「病気を持つ人の心の変化を知り、寄り添うことは、その先にいる、他の多くの患者さんたちを見つめることにもつながります。どんな時もPatient Centric Mindsetを忘れないでください」と熱いメッセージをいただきました。

ピーペック代表理事 宿野部 武志さん

「病気と仕事の両立」について今思うこと。~患者・企業人事の経験を踏まえて~

二人目は、患者さんの声の発信や病気と仕事の両立支援などを行う一般社団法人ピーペック代表理事の 宿野部武志さんです。3歳で慢性腎炎を発症し、透析をしながら働き続けてきました。ピーペックが掲げる「どうしようもある、世の中へ」というビジョンに込められた思いとは?

「病気になった時、これまでの生活や夢や生きがいを諦めてしまう方がいます。しかし薬や治療、サービス、法律などにより『どうにかしようのある状態』にできることがあるはずです。私たちは病気を持つ人の声を社会に届け、その声を活かして新たな価値が生み出され、社会に還元されていくエコシステムを循環させていきたいと考えています」。

以前は大手企業で人事を担当していた宿野部さん。病気と仕事の両立には「昇進に影響するのではという不安から、自身の病気を会社に伝えられない」といった切実な悩みがあることを踏まえ、 病院と職場をつなぐ「両立支援コーディネーター」の活用促進が重要だと話します。

一方、文化や制度など社内の環境整備も重要です。「患者さんは会社の外だけでなく、隣の席の人や自分自身が当事者になる可能性があります。そうした前提に立ち、社員自身が病気の体験や思いを安心して共有できる風土を育むことが大切であり、それが周囲の人々の自分事化につながり、創薬や新たなサービス創出に結びつくことを期待します。安全安心な職場が実現され、より多くの人が病気と仕事を両立できることを願っています」。

人事部 労政グループ 吉野 利治さん

Patient Journeyと第一三共グループの支援制度

三人目の登壇者は人事部の吉野利治さんです。当社グループはすべての国・地域において、社員一人ひとりのWell-Beingの支援に取り組み、健康な状態から病気の早期発見、治療や予後に至るまで多岐にわたるプログラムを構築しています。これらの活用に向け、吉野さんは「自分自身に思いやりの気持ちを向けること」の大切さを語ります。

「もしも自分が患者になったらどうするか、患者としての自分にできることは何かを日頃から考えておくことは、大切なご家族や周囲の方々、そして世界中の患者さんを思うことにつながります。思いやりと感謝を忘れず、互いに支え合う文化を育んでいきましょう」。

意気込みを語るPatient Centricity特命担当 上野 司津子さん

医療従事者×患者さん×製薬企業の視点で「患者さん中心」を考える

続いてパネルディスカッションが行われ、登壇者の山崎さんと宿野部さん、当社からは Patient Centricity特命担当の上野さんと人事部長の徳本さんが参加しました。

「病気と就労に企業はどう向き合うべきか」という問いに対し、宿野部さんは「『がんと就労』には多くの企業が力を入れる一方、希少疾患や難病、慢性疾患に関してはまだまだという企業が大半という調査結果があります。病気を抱えながら働く社員同士やそうした社員を支援する企業間のコミュニケーションが活発になれば現状を変えるきっかけになるのではないでしょうか」と提言します。

一方、山崎さんは当社 グループへの期待を込めて「『病気で苦しむ身体と心を助けてほしい』という私たちの気持ちを裏切らないでください。ご自身やご家族の健康を大切に思うからこそ、患者さんの気持ちに寄り添った薬を生み出せる、そんな会社であってほしいです」と語ります。

これに対し上野さんは「私たちがお届けする薬が、患者さんにとっての希望となることを心から願っています。より多くの患者さんの声に耳を傾け、私たちの思いを重ね合わせていくことで、新たな希望を生み出し続けていきます」と意気込みます。

最後に徳本さんより「当社が掲げる『イノベーションに情熱を。ひとに思いやりを。』の『ひと』は患者さんであり社員の皆さんです。どんな時も相手を思う気持ちを忘れずに新たな価値を創出していける会社をつくっていきたいと思います」と決意が語られました。

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