Michaelさんは幼少期から、科学や医学に強い関心を抱いていました。サンタクロースからのプレゼントに、化学実験セットや顕微鏡、生物学の本をリクエストしたほどです。自身が幼いころに診てもらったお医者さんへの憧れと尊敬から、小児科医を志すようになりました。
研修医になったMichaelさんは最初の臨床研修ローテーションで心臓血管外科に配属され、新生児の心臓切開手術に立ち会いました。Michaelさんは今も忘れられないといった様子でこう語ります。「医師や看護師たちが、損傷を負ったクルミほどの大きさの、とても小さな心臓を治療している現場に立ち会えた経験は、本当に素晴らしかったです」
その手術のあと、Michaelさんはすぐに進路変更を決断。心臓外科医となり、冠状動脈バイパスや弁置換術、心肺移植を含む5,000回を超える手術を執刀しました。
「心臓や肺の手術を生業とする数少ない者の一人になることができ、私は非常に恵まれていました」
天体撮影はMichaelさんの数ある趣味の中の一つです
しかし、心臓外科医としてのMichaelさんのキャリアは突然終わりを迎えます。2004年に脳卒中を起こし、軽度ではありましたが、微細運動と奥行きの知覚をつかさどる脳の部位を損傷したのです。歩くことや話すことなど、日常生活に支障はなかったものの、手指の細かい動作をコントロールする能力が低下し、再びメスを握ることは叶いませんでした。
それでも、Michaelさんが立ち止まることはありませんでした。心臓病、特に心臓発作後に心臓を再生する様々な方法に焦点を当てた研究の道へと歩み出したのです。
研究室に戻ると、製薬業界からたびたび声をかけられるようになりました。その中で縁あって、2010年に研究と臨床試験の設計に携わることができる第一三共への入社を決めたのです。
「アンメット・メディカル・ニーズを抱えた人々を救うために医薬品開発に情熱的に取り組む、とても献身的かつ才能に溢れ、思いやりに満ちた人々に出会えました。これは私にとって最も幸運な出来事の一つです」
~Michael Grosso、スペシャルティメディシン開発グローバルヘッド~
入社後の業務で最も誇りに思っていることの一つが、世界中の患者さんが参加する抗凝固剤の2つの臨床試験を実施するチームの一員になったことです。チームのサイズは小さかったものの、優れた人材と、揺るぎないコミットメント、そしてシームレスに協働したことがプロジェクトの成功に繋がったと言います。
現在はスペシャルティメディシン開発グローバルヘッドを務めるMichaelさん。「患者さん一人ひとりを分子病態生理学レベルで治療するという潜在力を持った医薬品をデザインできる未来を想像してみてください」と、プレシジョンメディシン*の未来の可能性に心を躍らせています。
- *プレシジョンメディシンとは、適切な患者さんを、適切なタイミングで、適切に治療することを目的とした、個々の患者さんや疾患の特徴を考慮した医薬品開発のアプローチです。
休日には家族や同僚とさまざまな趣味を楽しむ
F1を楽しむMichaelさん
職場の外でのMichaelさんの関心は、天体写真からワインまで多岐にわたります。「私はちょっとしたアマチュア天文学者ですし、機会を見つけてはワインについても学んでいます」
また、家族はスポーツ一家です。「昔ほどではありませんが、私たちはよくスポーツをしますし、みんなでサッカーの国際試合やF1のレースを観て楽しんでいます」
そうした趣味を同僚と一緒に楽しむこともあります。「職場の仲間たちとも、仕事以外の時間を一緒に過ごせる、非常に良い関係を構築しています。そうすることで、仕事に戻った時も、より一層強く、協力的になれると思います」
良好なワークライフバランスをどのようにして実現しているのか尋ねると、奥深く、けれどシンプルな答えが返ってきました。
「自分が本当に幸せになれることを選んで追い求めれば、自身でも気づいていなかった隠れたエネルギーが使えるようになり、更に多くのことをするための能力と時間を与えてくれます」
人生は予期せぬことの連続で、それが起こらなければ決して進むことはなかっただろう道へと私たちをいざないます。Michaelさんもそうした瞬間を重ね、充実した人生を歩み続けています。