この4月に日本のメディカルアフェアーズ本部長に就任した上野さんは、開発の現場で培った仕事を楽しむ姿勢を今でも大切にし、大勢の社員を率いるリーダーになってからもメンバーの皆が生き生きと楽しく働けるチームづくりを大事にしています。共感や信頼を生み躍進する上野さんのリーダーシップスタイルは、どのようにして生まれたのか？ その原点や信条などについて語っています。
開発の現場で養った、地道な努力の精神と仕事を楽しむ探求心
長年医薬品開発に従事し、最近まで新型コロナワクチン開発のプロジェクトリーダーだった上野さん。新薬を世に出すという大きな達成感を得られる開発の仕事も、その舞台裏では日々の地道な努力や医療と誠実に向き合うひたむきな姿勢が欠かせないと言います。
特に「この未曾有の危機に第一三共として貢献できることはないか」という熱い使命感のもとで立ち上がり、安全性や有効性はもちろん、スピードも重視された新型コロナワクチンの開発では、ワクチン企画部をはじめ、R＆Dやバイオロジクスなど、多くの関連部署と密に連携しながら想いを一つにして全力で走り続ける必要がありました。その際に、「一緒に仕事ができて良かった」と思い合える関係を築くには、地に足をつけた誠実な仕事でお互いの信頼を得るしか方法はないと感じたそうです。
しかし、一方で「仕事は楽しくないと続かない」と考えるのも上野さん独自のスタンスです。日々の地道な努力や誠実な姿勢が必要とされる仕事だからこそ、それを継続していくためにも仕事を楽しみ、探求する気持ちを忘れません。
「真面目に取り組まなければならない製薬の仕事を楽しもうというのは、不謹慎に聞こえるかもしれません。ただ、私が意識しているのは、どうしたらサイエンスの視点からワクワクするようなインパクトが得られるだろうかと想像し、探求していくことです。例えば、今自分たちが持っているこの薬の作用機序は、こんな患者さんの治療に役立つんじゃないかと発想してみたり。新しいアイデアからこれまでになかった治療薬を生み出し、患者さんの治療や医療に貢献できるのは、私たちの仕事の醍醐味だと思っています」
-上野 司津子、第一三共 日本事業ユニット メディカルアフェアーズ本部長
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目指すは、メンバーが仕事を楽しむ気持ちを忘れないチームづくり
こうした上野さんの仕事観は、自身のリーダーシップスタイルにも強く表れています。上野さんがチームを率いる際に強く意識しているのは、メンバーにも仕事を楽しむ気持ちを大事にしてほしいということ。皆が生き生きと楽しく働ける職場をつくれるよう、メンバーとしっかり目標を共有し、その実現に向けてチーム一丸となってプロジェクトを推進することを心がけています。
「やはり、チームで同じ目標を目指していると、達成したときの喜びは皆で分かち合うことができますし、うまくいかなかったときも皆でどうしたらいいだろうと考えることができます。こうしたチームの一体感が、仕事にやりがいや楽しみをもたらし、メンバーの成長を自然と促してくれると思っています。そして、決断に悩んだときには、どちらに進めばより医療貢献できるかを皆で議論し、そのアイデア出しさえも楽しみたいと考えています。」
また、女性リーダーとしてフロントラインを走り続けてきた上野さんだからこそ真摯に向き合える悩みも多くあります。「私にこの職務は果たせるだろうか？」と不安に思うメンバーたちに「あなたなら大丈夫」とエールを送り、一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
オンコロジーの領域でも積極的な情報創出活動を展開し、がん治療の発展に貢献したい
そんな上野さんが新たにリーダーシップを発揮するメディカルアフェアーズの仕事では、薬剤の使用に際しての患者さんや医療現場における疑問に答えるため、多様な臨床研究によってエビデンスを創出し、それを医療関係者へ情報発信していきます。「開発を新薬という種を発芽させる仕事に例えるなら、その芽が大きく健康に成長するように育てていくのがメディカルアフェアーズの仕事。開発もメディカルアフェアーズのどちらも、高い透明性と信頼性を持って患者さんの役に立ちたい、医療に貢献したいという熱い気持ちは同じですが、新薬の普及に直接取り組めるのは、開発では得ることのできない、メディカルアフェアーズならではの魅力」だと上野さんは語ります。
続けて、「第一三共は現在、さまざまな領域で新薬を開発し、医療現場から高い評価と信頼を獲得しています。今後はその領域をさらに広げられるよう、近年挑戦をスタートさせたオンコロジー領域でも、医療現場で必要とされるエビデンスを創出し、積極的な情報発信活動を展開することで、がん治療の発展に貢献していきたい」とメディカルアフェアーズ本部長としての抱負を語ってくれました。