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報道関係者各位
会社名 第一三共株式会社 代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 (コード番号 4568 東証第1部) 問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一 TEL 03-6225-1126
第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、切除不能な腎細胞がんと卵巣がん患者を対象としたDS-6000(CDH6を標的とした抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の第1相臨床試験(以下「本試験」)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。 当社は、がん領域パイプラインのグローバル開発の加速を目的として、Sarah Cannon Research Institute(所在地:米国テネシー州)との開発提携を2018年12月に発表しており、本試験は、本提携のもとDS-7300とDS-6157に続き3番目に開始した臨床試験となります。 近年の標的治療の進歩にもかかわらず、腎細胞がんと卵巣がんの5年生存率は依然として低く、新たな治療手段が必要とされています。CDH6は、複数のがん、特に腎細胞がんと卵巣がんに過剰発現しているカドヘリン蛋白質で、腫瘍増殖や予後不良に関連していると言われています。現在、がん治療を対象に承認されているCDH6を標的とした治療薬はありません。 本試験は、標準治療に抵抗性の切除不能な腎細胞がんと卵巣がん患者を対象とした第1相臨床試験で、2つのパートからなります。パート1(用量漸増パート)では、本剤の投与量を増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定します。パート2(用量展開パート)では、推奨用量における本剤の安全性と有効性を評価します。 本試験における安全性の評価項目は、用量制限毒性および有害事象です。有効性の評価項目は、全奏効率*2、病勢コントロール率*3、奏効期間*4および無増悪生存期間等*5です。米国において102名の患者を登録する予定です。 当社は、本剤を通じて腎細胞がんと卵巣がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供できることを期待しております。
以 上
*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。 *2 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。 *3 病勢コントロール率とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)または病勢安定(腫瘍の大きさが変化しない状態)した患者の割合です。 *4 奏効期間とは、完全奏効または部分奏効のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。 *5 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。 DS-6000について DS-6000は、エンハーツ®(DS-8201)、U3-1402、DS-1062、DS-7300、DS-6157に続いて、当社で6番目に臨床開発段階に入った抗体薬物複合体(ADC)で、当社独自のADC技術を用いて創製されました。当社独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(以下「DXd」)を抗CDH6抗体に結合させた薬剤で、1つの抗体につき約8個のDXdが結合しています。薬物をがん細胞内に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されています。 腎細胞がんと卵巣がんについて 腎細胞がんは腎臓がんの90%を占め、2020年における世界の新規症例数は約43万例、死亡者数は約18万人となっています。一方、卵巣がんは三大婦人科悪性腫瘍の1つで、同年における世界の新規症例数は約31万例、死亡者数は約21万人となっています。切除不能な腎細胞がんと卵巣がん患者の5年生存率は、それぞれ約13%と30%となっています。 Sarah Cannon Research Institute(サラ・キャノン研究所)について 所在地:米国 テネシー州 設立:1993年 事業内容:欧米を中心に活動している世界有数の臨床研究施設。独自のCRO機能を有し、新薬の開発戦略立案を含む臨床開発支援を展開。設立以来450以上のFirst in Human試験に携わり、過去10年間に米国で承認された大半の新薬の臨床試験をリードした実績をもつ。