当社100%子会社である三共株式会社(東京都中央区、以下三共)が拠出して1983年11月に設立した財団法人 三共生命科学研究振興財団(東京都港区、理事長:一杉安廣)は、2003年11月財団設立20周年記念事業として、三共の初代社長である高峰譲吉博士(1913年3月~1922年7月)の研究業績に因み、「高峰記念三共賞」を創設しましたが、2006年度の第4回「高峰記念三共賞」受賞者として、柴﨑 正勝・東京大学大学院薬学系研究科教授を選出致しましたのでお知らせします。
贈呈式は12月12日(火)ホテルオークラにて行います。
なお、当財団は設立以来、生命科学分野における独創的な研究に対する研究助成(2年間)、国際交流の援助(外国人学者招聘、わが国研究者の海外派遣及び国際シンポジウムの開催援助)、三共"フエローシップ"奨学助成(2年間)などの助成事業を行っております。
(ご参考)
受賞対象研究テーマ「原子効率の革新を志向した不斉触媒の創製-タミフルを中心とする医薬合成への展開」 柴﨑博士の研究業績の中心は、触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応に関するもので、極めて独創的かつ国際的評価の高い成果である。これらの触媒的不斉反応を用いる新規抗糖尿病薬、脳機能改善薬、抗癌剤・カンプトテニン、抗頻尿薬、抗真菌薬等の大規模合成が世界各国の企業と共同研究中である。
本不斉触媒反応でも工業的に汎用されているHCNを用いる極めて原子効率の高い系を見出すに至り、世界的に注目されている。最も重要な反応であるケトイミンの触媒的不斉StreckerでHCNそのものが利用できることが分かり、原子効率の飛躍的進歩が達成された。最近、話題の抗インフルエンザ薬・タミフルの触媒的不斉合成ルートを開発し、従来の植物からのシキミ酸を必要としない点から注目を集めている。
推薦候補者名
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柴﨑 正勝(シバサキ マサカツ) 59歳 |
所属機関・役職
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東京大学大学院薬学系研究科 有機合成化学 教授 |
主な略歴
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昭和44年3月 東京大学薬学部卒 同 49年3月 東京大学大学院薬学系研究科博士課程終了 同 49年3月 米国ハーバード大学へ留学(昭和52年3月迄) 同 52年4月 帝京大学薬学部講師 同 61年10月 北海道大学薬学部教授 平成3年10月 東京大学薬学部教授 同 18年4月 日本薬学会会頭 同 18年4月 東京大学大学院薬学系研究科長(薬学部長) |
研究テ-マ 及び 推薦理由・要旨
(主たる文献)
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原子効率の革新を志向した不斉触媒の創製-タミフルを中心とする医薬合成への展開 候補者の研究業績の中心は触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応に関するもので、極めて独創的かつ国際的評価の高い成果である。これらの触媒的不斉反応を用いる新規抗糖尿病薬、脳機能改善薬、抗癌剤・カンプトテニン、抗頻尿薬、抗真菌薬等の大規模合成が世界各国の企業と協同研究中である。本不斉触媒反応でも工業的に汎用されているHCNを用いる極めて原子効率の高い系を見出すに至り、世界的に注目されている。最も重要な反応であるケトイミンの触媒的不斉StreckerでHCNそのものが利用できることが分かり、原子効率の飛躍的進歩が達成された。 極く最近、抗インフエンザ薬・タミフルの触媒的不斉合成ルートを開発し、植物からのシキミ酸を必要としない点から注目を集めている。 ・Chem.Rev.(2002):Lanthanide Complexes in Multifunctional Asymmetric Catalysis ・Proc. Jpn. Acad. Ser. B, (2006): Chiral poly-rare earth metal complexes in asymmetric catalysis ・J. Am. Chem. Soc.,(2006): De Novo Synthesis of Tamiflu via a Catalytic Asymmetric Ring-Opening of meso-Aziridines with TMSN3 |
主たる 受賞歴
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平成 8年: フルカ賞(スイス) 同 10年: エルゼビア賞(ベルギー) 同 11年: 日本薬学会賞 同 14年: アメリカ化学会賞 同 15年: 紫綬褒章 同 16年:東レ科学技術賞 同 17年: 日本学士院賞-不斉分子触媒の創製と医薬化学への展開に関する研究 |