第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、米国ボストンにて開催中の第22回国際血栓止血学会(International Society on Thorombosis and Haemostasis:ISTH)において、現在、血栓塞栓症治療剤として開発中の経口抗Xa剤「エドキサバン」の用法用量と出血事象の発現に関するデータを発表いたしましたのでお知らせします。
2008年12月の第50回米国血液学会(American Society of Hematology)において発表した後期第Ⅱ相臨床試験では、1日の総投与量は同じであるものの、出血頻度は1日1回(60mg×1)投与したグループが1日2回(30mg×2)に分けて投与したグループに比べ低いことが確認されました。今回、本試験結果を詳細に分析したところ、本剤の最低血中濃度が出血事象の主要予測因子であることが明らかとなりました。
当社では、現在、1日1回30mgあるいは1日1回60mgの用法用量にて第Ⅲ相国際共同試験(ENGAGE-AF TIMI 48)を実施しております。今回得られた知見は、この用法用量設定を支持するものと考えています。
*詳細については別紙をご参照願います。
(別紙)
1.エドキサバンの概要
血管内での血液凝固に関与するXa因子を直接阻害する作用メカニズムを持つ経口の抗凝固剤であり、血栓塞栓症の治療およ
び予防を目的として開発を進めている。
汎用されている経口抗凝固剤であるワルファリンと比較し、次のような特徴が期待される。
① 同等の抗血栓作用を示す
② 経口投与後の作用発現が速やか
③ 抗血栓効果と出血を助長する用量の乖離幅が大きい(広い治療域と低い出血性を示唆)
④ 薬効用量の個人差が小さい可能性
2.後期第Ⅱ相臨床試験の概要
・目的:
エドキサバンの非弁膜性心房細動を有する患者における安全性を確認するために、ワルファリン投与群との比較を実施
・デザイン:
エドキサバンの30mg、60mgの1日1回および1日2回投与群とワルファリン投与群の5群間における無作為、二重盲検比較試験
(ワルファリンは非盲検)
・登録患者数:1,146名
・投与期間:12週間
・結果:
同剤の30mgおよび60mgの1日1回投与群において、対照薬であるワルファリン投与群と臨床的に重要な出血事象の頻度は同
程度であり、また主な心血管イベント等の発現において有意な差は認められなかった。
3.今回の発表概要
・後期第Ⅱ相臨床試験を初めとしたエドキサバンのデータをもとに詳細な解析を実施した。
・エドキサバンの1日1回投与は1日2回投与に比べ出血事象の発現頻度が低かった。
・エドキサバン投与後の出血事象発現は、PKパラメーター(Cmax、Cmin、AUC)と相関するが、特にCminと強く相関していた。
・本知見により第Ⅲ相国際共同試験(ENGAGE AF-TIMI48)における適切な用法用量選択が可能となった。
Cmax:最高血中濃度
Cmin:最低血中濃度
AUC:血中濃度曲線下面積