第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、日本国内において、天然型テトラヒドロビオプテリン製剤「ビオプテン®顆粒10%」(一般名:サプロプテリン塩酸塩、製造販売承認取得日:本年8月20日、薬価基準収載日:本年11月29日)を、本日発売しましたのでお知らせします。
ビオプテンは生体内に存在する天然型テトラヒドロビオプテリン(以下BH4)を化学的な方法で高純度に合成し、製剤化したもので、異型高フェニルアラニン血症(1992年3月承認)およびBH4反応性高フェニルアラニン血症(2008年7月効能追加承認)の患者(患児)において、血清フェニルアラニン値を適正な値に維持します。
これまではビオプテン®顆粒2.5%製剤を用い、BH4反応性高フェニルアラニン血症の患児に対して、1日に体重1 kgあたり1包が投与されていましたが、患児の成長に伴う体重増加によって、1日に服用する分包数が非常に多くなる問題が顕在化し、製剤改良が強く望まれておりました。このような背景の下、服用のアドヒアランス(服薬遵守)向上や大量処方に伴う物理的負担の軽減に資するため、当社は高含量製剤として1包中(1 g)サプロプテリン塩酸塩100 mgを含有する「ビオプテン®顆粒10%」の開発に取組み、本年8月の製造販売承認取得を経て、本日の発売に至りました。
<高フェニルアラニン血症について>
高フェニルアラニン血症は、必須アミノ酸の一種であるフェニルアラニンの代謝異常により血液中のフェニルアラニン濃度が上昇する疾患です。先天的な遺伝子の異常が原因であり、出生後治療せずに過ごしてしまうと、精神発達障害等の不可逆的な中枢神経障害を引き起こします。
本疾患は、原因がフェニルアラニンを代謝する酵素の働きを助ける物質(BH4)が生まれつき無い場合(異型高フェニルアラニン血症)とフェニルアラニンを代謝する酵素が生まれつき変異しているために働きが悪い場合の大きく2つに分けられます。前者はBH4による治療が可能であり、後者の一部でも生体内のBH4濃度を上げることによりフェニルアラニンを代謝する酵素の働きが回復する場合があります(BH4反応性高フェニルアラニン血症と呼ばれます)。
高フェニルアラニン血症は患者数が少ない疾患で、日本人における発症頻度は1/80,000人、日本で新生児マス・スクリーニングが開始された1977年以降、診断された患者数は約600人です。
ビオプテンは、BH4反応性高フェニルアラニン血症について、希少疾病用医薬品の指定を受けております。
以 上
<ご参考>
新製品「ビオプテン®顆粒10%」と既存製品「ビオプテン®顆粒2.5%」の概要
販売名
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ビオプテン®顆粒10%
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ビオプテン®顆粒2.5%
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一般名(JAN)
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サプロプテリン塩酸塩
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効能・効果
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1.ジヒドロビオプテリン合成酵素欠損、ジヒドロプテリジン還元酵素欠損に基づく高フェニルアラニン血症(異型高フェニルアラニン血症)における血清フェニルアラニン値の低下
2.テトラヒドロビオプテリン反応性フェニルアラニン水酸化酵素欠損に基づく高フェニルアラニン血症(テトラヒドロビオプテリン反応性高フェニルアラニン血症)における血清フェニルアラニン値の低下
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用法・用量
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1.異型高フェニルアラニン血症
通常、サプロプテリン塩酸塩として1 日2 ~ 5 mg/kgを1 ~ 3 回に分割経口投与するが、血清フェニルアラニン値が正常域に維持される用量をもって、有効維持量とする。
2.テトラヒドロビオプテリン反応性高フェニルアラニン血症
通常、サプロプテリン塩酸塩として1 日10mg/kg( 1 ~ 3 回に分割経口投与)から投与を開始し、臨床症状等の観察を行いながら、年齢に相応した血清フェニルアラニン値の目標値に維持される用量をもって、有効維持量とする。
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包装・規格
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10%顆粒 1g分包品
(1包中サプロプテリン塩酸塩100mg含有)
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2.5%顆粒 0.4g分包品
(1包中サプロプテリン塩酸塩10mg含有)
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薬価
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35,875.00円/包
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3,587.50円/包
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1日服薬量
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上記2の適応で体重30kgの患者の
場合:3包(3g)~6包(6g)
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上記2の適応で体重30kgの患者の
場合:30包(12g)~60包(24g)
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