第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「第一三共」)と株式会社UMNファーマ(本社:秋田県秋田市、以下「UMNファーマ」)は、このたび、ノロウイルスワクチンの共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎の主要な原因ウイルスの一つであり、国内外において感染の報告が増加しています。毎年、全世界でノロウイルスにより約20万人が亡くなる*と言われていますが、上市されている予防ワクチンは存在していません。先進国においては死に至るケースは少ないものの、医療経済的損失が甚大なため、ワクチンによる予防が求められています。2013年12月に開催された厚生科学審議会「予防接種・ワクチン分科会」において、開発優先度の高いワクチンの一つとしてノロウイルスワクチンが選定されています。
本契約により、UMNファーマは、同社独自の製造プラットフォームであるBEVS1)を用いて製造した組換えノロウイルスVLP2)抗原を第一三共に提供し、第一三共は新規投与デバイスを用いたノロウイルスワクチンの開発可能性を確認することを目的とした基礎研究を実施します。
第一三共とUMNファーマは、本共同研究の結果、一定の評価基準を満たしたと判断した場合、本格的な開発に向けた協議を実施します。なお、本共同研究契約期間においてUMNファーマは、第一三共に対しノロウイルスVLP抗原を独占的に供給するとともに、さらなる提携について独占的に交渉する権利を付与します。
第一三共及びUMNファーマは、それぞれが保有する革新的な技術を組み合わせた新規予防ワクチンの研究開発を通じて、日本及び世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。
1)BEVS(Baculovirus Expression Vector System)
昆虫細胞に特異的に感染するバキュロウイルスに目的遺伝子を組み込んだ後、昆虫細胞に感染させて目的タンパクを製造する系で、組込む遺伝子の種類が変わっても生産条件を大きく変える必要がない、柔軟で効率的な製造技術であり、VLPの製造に適している。
2)VLP(Virus Like Particle)
ウイルスの外殻のみを持ち、内部にはウイルスゲノムを持たない中空のウイルス様粒子のこと。ウイルスゲノムを持たないことから宿主内で増殖できないが、外殻に対する抗体産生を誘導する。VLPは、組換えタンパクの単一分子と比べはるかに大きく、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に病原体の如く貪食されるため、アジュバントなしで強力な免疫を誘導する抗原として期待されている。
* 出典:Patel MM, et. al. Emerg Infect Dis. 2008; 14(8):1224-31.
以上
(ご参考)
<第一三共株式会社(DAIICHI SANKYO COMPANY, LIMITED)の概要>
1.
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代表者
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:
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代表取締役社長兼CEO 中山 讓治
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2.
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本社
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:
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東京都中央区
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3.
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設立
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:
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2005年9月
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4.
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事業内容
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:
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医療用医薬品の研究開発、製造、販売等
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5.
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従業員数
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:
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約32,000人(2013年12月31日現在)
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6.
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Webサイト
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:
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https://www.daiichisankyo.co.jp/
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<株式会社UMNファーマ(UMN Pharma Inc.)の概要>
1.
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代表者
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:
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代表取締役会長兼社長 平野 達義
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2.
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本社
|
:
|
秋田県秋田市
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3.
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設立
|
:
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2004年4月
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4.
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事業内容
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:
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予防ワクチンをはじめとするバイオ医薬品の研究開発、製造等
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5.
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従業員数
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:
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91名(連結ベース 2013年12月31日現在)
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6.
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Webサイト
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:
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http://www.umnpharma.com/
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