第一三共株式会社(本社:東京都中央区)の関連公益財団法人である第一三共生命科学研究振興財団(東京都中央区、理事長:中山 讓治、以下「当財団」)は、2015年度の第13回「高峰記念第一三共賞」の受賞者として、一條秀憲博士(東京大学大学院薬学系研究科教授)を選出しましたのでお知らせします。
当財団は、2003年11月に創立20周年記念事業として、旧三共株式会社の初代社長である高峰譲吉博士(社長在職;1913年3月~1922年7月)の研究業績に因み、「高峰記念三共賞(現 高峰記念第一三共賞)」を創設し、毎年、生命科学特に疾病の予防と治療に関する諸分野の基礎的研究並びに臨床への応用的研究において、その進歩・発展に顕著な功績をあげ、活躍中の研究者に贈呈しております。
なお、当財団は設立以来、生命科学分野における独創的な研究に対する研究助成、国際交流の援助(海外共同研究支援助成及び国際シンポジウムの開催助成)などの助成事業を行っております。
以 上
(参考)
受賞研究テーマ「ストレスシグナル分子機構の解明と創薬医療科学基盤の創成」
一條博士は東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程(口腔外科学)を修了後、ウプサラ大学ルドヴィック癌研究所(スウェーデン)へ留学、その後、東京医科歯科大学歯学部口腔病理学講座助手、財団法人癌研究会・癌研究所生化学部研究員、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野教授を経て、平成14年に東京大学大学院薬学系研究科細胞情報学教室教授に就任している。また、平成25年より東京大学創薬オープンイノベーションセンター(現東京大学創薬機構)長も兼務している。
一條博士はストレス応答性MAPキナーゼ経路の中で、タンパク質キナーゼとしては最上流に位置するASK1遺伝子を発見し、ASKファミリーとその制御因子の解析を通じて、酸化ストレス、浸透圧ストレス、小胞体ストレス並びにミトコンドリアストレスにおける、ストレスシグナル伝達機構の解明に貢献してきた。ストレス受容に関与する鍵分子の同定とその制御因子の解析から、革新的な創薬医療技術への応用が期待される。また、東京大学創薬機構長を兼務されるなど、基礎研究からの創薬応用にも意欲的に取り組んでいる。
(所属機関・役職)
東京大学大学院薬学系研究科 細胞情報学教室 教授
兼務 東京大学創薬機構長
(主な略歴)
1985年3月 東京医科歯科大学 歯学部 卒業
1990年3月 東京医科歯科大学 大学院歯学研究科博士課程修了 歯学博士
1990年4月 Ludwig癌研究所 Uppsala Branch留学
1992年4月 東京医科歯科大学・歯学部・口腔病理学講座・助手
1995年4月 (財)癌研究会・癌研究所・生化学部・研究員
1998年2月 東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科・分子情報伝達学分野・教授
2002年9月 東京大学・大学院薬学系研究科・細胞情報学教室・教授
2013年4月 東京大学 創薬オープンイノベーションセンター長 兼務
2015年4月 同センター改称:東京大学 創薬機構長 兼務
(主な受賞歴)
1997年 歯科基礎医学会賞
1998年 日本癌学会奨励賞
2001年 歯科基礎医学会ライオン学術賞
2008年 日本癌学会学術賞(JCA-Mauvernay Award)
2013年 持田記念学術賞