第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、株式会社Orphan Disease Treatment Institute(本社:東京都品川区、以下「ODTI*1」)と共同開発中のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療剤(DS-5141b、以下「本剤」)の最初の臨床試験(国内での第1/2相臨床試験)において、今般、被験者に投薬を開始しましたので、お知らせします。
DMDは、民族差なく、新生男児の約3,500人に1人で発症することが知られている極めて重篤な伴性劣性の遺伝性希少疾患です。DMDの発症原因は、患者の筋細胞でジストロフィンタンパク質が産生されないこととされていますが、現在、根本的な治療法はありません。
本剤は、DMD患者筋細胞内において、ジストロフィン遺伝子からメッセンジャーRNAが作られる過程で、エクソン45部分のスプライシングをスキップさせ、不完全ながらも機能が保持されたジストロフィンタンパク質を産生することでDMDの治療が期待される核酸医薬品です。本剤は当社独自の修飾核酸であるENA®オリゴヌクレオチド*2を有効成分としております。2020年までに国内製造販売承認を取得することを目標に、開発を進めています。
これからも、当社は、医薬品開発を通じ、より多くの患者さんや医療関係者のニーズに応え、新たな治療の選択肢を提供することで医療に貢献してまいります。
以 上
*1ODTIについて
株式会社産業革新機構と三菱UFJキャピタル株式会社の運用するファンドと当社との共同投資により、2013年に設立した会社です。(2013年2月14日付のプレスリリース「独自技術を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィー核酸医薬の開発について」にて発表。)
*2ENA®オリゴヌクレオチドについて
ENA®(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)は、核酸の糖部フラノース環の2'位と4'位をエチレンで架橋した修飾核酸です。ENA®を含む短鎖修飾核酸であるENA®オリゴヌクレオチドは、相補的なDNAやRNAに対して高い結合力を示し、熱安定性やヌクレアーゼ耐性で優れた特性を持っています。ENA®は、当社の商標です。