日本発創薬イノベーションの加速化へ向け、国内に研究拠点をもつ製薬企業3社が連携
アステラス製薬株式会社(代表取締役社長CEO:畑中 好彦、本社:東京都中央区、以下「アステラス製薬」)、第一三共株式会社(代表取締役社長 兼CEO:中山 讓治、本社:東京都中央区、以下「第一三共」)、武田薬品工業株式会社(代表取締役社長CEO:クリストフ・ウェバー、本社:大阪市中央区、 以下「武田薬品」)は、革新的医薬品の創出を効率化・加速化するため、健康成人におけるバイオマーカー*1の基礎データを網羅的に取得・解析する共同研究契約を締結しましたので、お知らせします。
バイオマーカーは、患者さんの層別化、医薬品の作用機序解明および有効性・安全性の指標として用いられるもので、医薬品候補の探索段階から臨床試験、日常診療に至るまで幅広く活用されています。一方で、前臨床および臨床試験において、患者さんとの比較対照となる健康成人におけるバイオマーカーの基礎データは、世界的にも十分に蓄積されているとはいえず、さらなるデータ基盤の強化が課題となっています。
本契約に基づき、アステラス製薬、第一三共、武田薬品の3社は、生体内タンパク質や代謝物をバイオマーカーとした臨床試験を実施する上で必要となる、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得し、共同で解析を行います。サンプルはオランダのライデン大学 トーマス・ハンケマイヤー教授の指導のもと、同大学が提携する臨床研究機関にて取得されます。本解析により得られたデータは、主に3社が重点疾患領域*2において活用するとともに、患者さんのアンメットメディカルニーズを満たすために行われるあらゆる創薬研究に広く活用いただくため、公開してまいります。
アステラス製薬、第一三共、武田薬品は、革新的な医薬品の創出を通じて世界中の人々の健康と福祉の向上に貢献していくことを目指しています。今回の共同研究により、これまで個別の製薬企業では難しかった網羅的なバイオマーカーのデータ基盤構築が可能になるとともに、トランスレーショナルリサーチ*3のアプローチを用いた、より効果的な創薬活動にもつながります。3社は、同じ日本国内に研究拠点をもつ製薬企業として、本共同研究を通じた日本発創薬イノベーションの効率化・加速化に貢献してまいります。
以上
*1 バイオマーカー:
「通常の生物学的過程(生体内の生物学的変化)、病理学的過程(疾患の発症・進展過程)、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される項目」と定義されており、生化学検査、血液検査、腫瘍マーカーなどの各種臨床検査値や画像診断データなどが含まれます。バイオマーカーは、通常の診療だけでなく、診断薬を含む医薬品の開発でも利用されています。
*2 3社の重点疾患領域:
アステラス製薬:泌尿器、がん、免疫科学、腎疾患、神経科学、筋疾患、眼科
第一三共:がん、および複数の次世代領域(疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患)
武田薬品:オンコロジー、消化器系疾患、中枢神経系疾患、ワクチン
*3 トランスレーショナルリサーチ:
主に前臨床における基礎的な研究成果を、臨床の応用に繋げる研究のことを言います。橋渡し研究とも言われます。