第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、がん患者を対象とした企業主導大規模臨床研究 (以下「Cancer-VTE Registry」)を開始しましたので、お知らせいたします。
Cancer-VTE Registryは、がん患者1万人を登録し1年間追跡する観察研究で、その目的は次のとおりです。
・登録患者におけるVTEの併発頻度を明らかにし、VTE併発患者の背景因子を明らかにする。
・登録患者におけるVTEの治療実態を明らかにする。
・登録患者における1年間観察時のVTEイベント、出血性イベント、脳梗塞および全身性塞栓症の発生頻度を調査し、イベントに関連する背景因子を明らかにすることで、直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulant:DOAC)に最適な治療対象集団の把握、その集団に対するリクシアナⓇ(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物、以下「エドキサバン」)を含むDOACの適切な使用法を明確にする。
引き続き当社は、本研究の実施を通じ、VTEの治療および再発抑制の向上に貢献してまいります。
以 上
企業主導臨床研究について
企業主導臨床研究は、製造販売承認申請および再審査・再評価申請の目的とは別に、医療における疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善、疾病原因および病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施されるヒトを対象とする研究のうち、企業が主導して実施されるものです。
がん患者におけるVTEについて
VTEは、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称です。深部静脈血栓症は、脚、骨盤、腕などの深部静脈に血栓が形成される疾患です。肺血栓塞栓症は、深部静脈で形成された血栓の一部が遊離して肺に流れ、肺動脈を閉塞し、致死的状況をもたらす疾病です。
がん患者においては、凝固促進タンパク質の腫瘍組織からの分泌など、様々な要因により、VTEの発症率が、がんに罹患していない患者に比べて有意に高くなることが知られています。また、化学療法剤、免疫調整剤、および血管新生阻害剤による治療によっても、VTEの発症リスクが高まることが知られています。
VTEを発症したがん患者では、がんに罹患していない患者に比べて急性の血栓イベントによる死亡リスクが高くなるとされています。さらに、VTEを発症したがん患者は、VTEを発症していないがん患者と比べて、生存率が低いとされています。
VTEの抗凝固療法とDOACについて
VTEの抗凝固療法には、ワルファリンもしくは未分画ヘパリンが用いられてきました。2007年以降には低分子ヘパリン等の注射剤が用いられるようになり、国内においては2014年からVTEに対するDOACとして、エドキサバンを含む3製品が相次いで使用可能となりました。
エドキサバンのライフサイクルマネジメントについて
当社は、エドキサバンの科学的知見を継続的に発展させるよう取り組んでいます。
エドキサバンの臨床研究プログラムは、無作為化比較試験およびレジストリーとして知られる非介入研究から成り、心房細動や静脈血栓塞栓症の患者におけるエドキサバンの使用について、臨床試験や使用実態下のデータを創出することを目的としています。当社は、エドキサバン臨床研究プログラムに、
完了・継続・計画中のものを加えると10万人以上の患者さんが参加されることを見込んでおります。
本プラグラムにおける無作為化比較試験は以下のとおりです。
・電気的除細動を施行予定の心房細動患者を対象としたENSURE-AF試験
・経皮的冠動脈血管形成術(PCI)を施行した心房細動患者を対象としたENTRUST-AF PCI試験
・がんを合併した静脈血栓塞栓症患者を対象としたHokusai-VTE Cancer試験
・非弁膜症性心房細動を有する高齢者を対象としたELDERCARE-AF試験
・非弁膜症性心房細動を有するカテーテルアブレーション施術後の患者を対象としたELIMINATE-AF試験
・経カテーテル大動脈弁置換術後の患者を対象としたENVISAGE-TAVI AF試験
また、エドキサバンや他の経口抗凝固剤の重要な使用実態下の実臨床エビデンスを示すデータを
創出するためのグローバルおよび地域的レジストリーは以下のとおりです。
・ETNA-AF
・ETNA-VTE
・EMIT-AF/VTE
・Prolongation PREFER in AF
・ANAFIE Registry
・Cancer-VTE Registry
当社は、幅広いAFおよびVTE患者さんにおけるエドキサバンに関連する科学的知見の充実に一層尽力していきます。