第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-1211(TNAP阻害剤)について、健常成人を対象とした第1相臨床試験を米国で開始しましたので、お知らせいたします。
DS-1211は、異所性石灰化に対する治療効果が期待されるファースト・イン・クラスの低分子化合物で、2014年に開始したSanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute(以下「SBP」)との共同研究により創出されました。
石灰化は通常、骨や歯などで起こりますが、石灰化制御のバランスが破綻すると、リン酸カルシウムが血管など不適切な部位に蓄積することで様々な疾患を引き起こします。SBPのJosé Luis Millán(ホセ ルイス ミラン)教授を中心とした石灰化制御機構の分子・細胞レベルでの解明が、本剤の創出につながりました。
当社は、SBPの最先端のバイオロジーや創薬技術等を活用し、今後も有望な化合物を臨床開発段階へ移行させ、更には患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう取り組んでまいります。
以 上
(ご参考)
Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute(サンフォード バーナム プレビス メディカル ディスカバリー インスティテュート)の概要
所在地:米国フロリダ州オーランドおよびカリフォルニア州サンディエゴ
設立年:1976年
職員数:約1,000名
概 要:がん、神経疾患、肥満・糖尿病・代謝性疾患、循環器疾患、免疫・炎症、小児疾患等の疾患の根本的な原因の究明と、これを標的とする創薬シーズ・治療方法の創生をミッションとする非営利団体
TNAP阻害による異所性石灰化抑制について
TNAPは体内のピロリン酸を分解する細胞膜結合型酵素です。ピロリン酸は石灰化組織の主成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種)の生成を直接阻害します。TNAPを阻害することで体内のピロリン酸が増加し、異所性石灰化を抑制することが期待されます。