第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、本年8月1日に当社が埼玉医科大学(本部:埼玉県日高市)と共同で進めている進行性骨化性線維異形成症*1(以下「FOP」)に対する革新的治療薬の創出が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」)の医療研究開発革新基盤創成事業(以下「CiCLE」)*2に採択されたことを受け、今般、産官学連携の研究開発を開始しましたので、お知らせいたします。
FOPは、筋肉や腱などの軟部組織において、本来は形成されない骨組織が形成される、進行性かつ重篤な疾患で、世界的には人口 200 万人に対して1人程度の割合で発症することが知られており、我が国の指定難病の1つです。FOPの原因は、ALK2という遺伝子の変異であることが報告されていますが、有効な治療法は未だ確立されていません。
当社が、埼玉医科大学との共同研究により見出したFOP治療薬候補は、ALK2に対する抗体医薬(ヒト化モノクローナル抗体)であり、FOPにおいて異常亢進しているALK2シグナルを特異的に阻害することで、骨化を抑制することが期待されています。
今後は、CiCLEからの支援をもとに、埼玉医科大学との共同研究により、FOPの革新的治療薬の早期創出に向け一層注力してまいります。
以 上
*1進行性骨化性線維異形成症(FOP)について
FOPは骨格筋や腱、靭帯など、通常は骨組織が形成されない軟部組織において骨組織が形成される(これを異所性骨化という)遺伝性疾患です。本疾患では、異所性骨化が顔面を含む全身で起こり、異所性骨組織と既存の骨組織が癒合してしまうことにより、身体の変形や関節の可動域の著しい低下を生じます。FOPの原因は、骨形成を司るBMPシグナル受容体の1つであるALK2遺伝子の変異であることが報告されており、変異により活性化したALK2が、過剰な骨形成シグナルを伝達することで、異所性骨化が起こります。これまでのところ、FOPの異所性骨化を抑制する薬剤や、既に形成された異所性骨を除去する方法は確立されておらず、有効な治療薬が切望されています。
*2医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)について
2017年度からAMEDが実施するCiCLEは、産学官連携により、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する医薬品・医療機器・医療技術などの実用化の加速化、医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が強力に促進される環境の創出を推進することなどを目的としており、対象を特定の分野に限定せず、基礎的な研究段階から臨床試験等を含む実用化の開発段階までの幅広い案件に対応している新しい事業です。