2017年11月21日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

DS-8201の胃がん患者を対象とした第2相臨床試験の開始について

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-8201(HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)のHER2陽性の再発・進行性胃がん患者を対象とした第2相臨床試験(試験名:DESTINY-Gastric01)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

 胃がん患者の5人に1人の割合で、がん細胞にHER2が過剰発現していると言われています。HER2陽性胃がんは、不均一なHER2発現が認められることから治療法の進歩が限定的で、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患の一つです。現在、HER2を標的としたトラスツズマブによる治療を受けた後に進行したHER2陽性の再発・進行性胃がんに対し標準的に使用されている抗HER2療法はありません。

 本試験は、HER2を標的としたトラスツズマブによる治療を含む2種類の前治療を受けた後に進行したHER2陽性の再発・進行性胃がん患者または胃食道接合部腺がん患者を対象とした第2相臨床試験で、DS-8201の有効性と安全性を評価します。主要評価項目は全奏効率*2で、日本および韓国において約180名の患者を登録する予定です。

 また、HER2を標的とした前治療を受けていないHER2低発現の再発・進行性胃がん患者(約40名を登録予定)に対する本剤の有効性と安全性も探索的に評価します。

 世界の胃がん患者数の半数は、日本と韓国を含む東アジア地域に集中していると言われています。本試験は、DS-8201にとって、乳がん患者対象に続き、2番目の第2相臨床試験となります。当社は、他の治療法のない再発・進行性の胃がん患者さんにとって、本剤が新しい治療の選択肢となることを期待しております。

 

以 上

 

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

*2 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)と急性骨髄性白血病(AML)をフランチャイズとして、合計20以上の新規の低分子医薬、抗体医薬および抗体薬物複合体(ADC)を保有しています。

主要開発品目には、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:固形がん)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫、固形がんにおける抗PD-1抗体との併用試験も実施中)等があります。

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