第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)および米国Puma Biotechnology, Inc.(本社:米国カリフォルニア州ロサンゼルス、以下「プーマ社」)は、当社が開発中のDS-8201(HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)およびプーマ社が開発したネラチニブ(HER2等を標的としたチロシンキナーゼ阻害剤、米国製品名:NERLYNX®)のHER2変異固形がんに対する併用療法を評価するための前臨床試験を米国メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(所在地:米国ニューヨーク州ニューヨーク、以下「MSKがんセンター」)と共同実施する契約を締結しましたので、お知らせいたします。
本前臨床試験は、PDX(Patient Derived Xenograft)モデル*2等を使用し、DS-8201およびネラチニブの併用による、様々なHER2変異固形がんに対する安全性や有効性を評価します。MSKがんセンターが試験を実施し、当社とプーマ社はそれぞれが保有する薬剤の提供および試験費用を負担します。
本提携は、DS-8201のポテンシャルを最大化するための他の薬剤との併用療法評価の一環です。当社は、本剤が様々ながん患者さんにとって新しい治療の選択肢となることを期待しています。
以 上
*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。
*2 PDX(Patient Derived Xenograft)モデルとは、がん患者の腫瘍組織を免疫不全マウスへ移植することにより、がん患者の生体内に近い環境で薬剤を評価するモデルです。
メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKがんセンター)について
1884年にニューヨークのがん病院として設立されて以来、がん領域における患者さんの治療、研究、教育を世界最先端レベルで実施している機関です。U.S. News & World Reportのベストホスピタルがん部門において、常にトップクラスに選ばれています。
Puma Biotechnology, Inc.(プーマ社)について
がん領域における新薬の開発および商業化に特化したバイオテク企業で、現在、ネラチニブを含む複数品目のグローバルでの開発および商業化権を保有しています。
第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)と急性骨髄性白血病(AML)をフランチャイズとして、合計20以上の新規の低分子医薬、抗体医薬および抗体薬物複合体(ADC)を保有しています。
主要開発品目には、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:固形がん)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫、固形がんにおける抗PD-1抗体との併用試験も実施中)等があります。