第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、株式会社Orphan Disease Treatment Institute(ODTI)*1(本社:東京都品川区)と共同開発しているDS-5141*2(デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤、以下「本剤」)の国内第1/2相臨床試験(以下「本試験」)の結果概要について、お知らせいたします。
本試験は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)*3患者を対象に、慎重に投与量を漸増させたうえ、本剤を週1回で12週間連続皮下投与し、安全性及び有効性を評価した最初の臨床試験です。
本試験において、投薬中止や臨床上問題となる有害事象など安全性上の懸念は認められませんでした。また、有効性の主要評価項目であるジストロフィンタンパク質の発現については、一部の患者で発現が確認されたものの、全体として明らかな発現を確認することはできませんでした。一方、副次評価項目である遺伝子のエクソン45をスキップすることによって得られるメッセンジャーRNAの産生については、全ての患者で産生が確認できました。
本試験において、安全性とエクソンスキッピング活性が確認されたことから、筋ジストロフィー患者さんへ新しい治療の選択肢をできる限り早く提供できるよう、鋭意開発を進めてまいります。
以 上
(参考)
*1株式会社Orphan Disease Treatment Institute(ODTI) について
株式会社産業革新機構と三菱UFJキャピタル株式会社の運用するファンドと当社との共同投資により、2013年に設立した会社です。
*2DS-5141について
DS-5141は、患者筋細胞内において、ジストロフィン遺伝子からメッセンジャーRNAが作られる過程で、エクソン45部分のスプライシングをスキップさせ、不完全ながらも機能が保持されたジストロフィンタンパク質を産生することで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療が期待される核酸医薬品です。また、当社独自の修飾核酸であるENA®オリゴヌクレチドを有効成分としており、2017年4月には、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されております。
*3 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)について
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、民族差なく、新生男児の約3,500 人に1 人発症することが知られている極めて重篤な遺伝性希少疾患です。その発症原因は、患者の筋細胞においてジストロフィンタンパク質が産生されないことですが、治療法は極めて限られており、その効果も限定的です。