第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、キザルチニブ(FLT3阻害剤、以下「本剤」)の再発または難治性の急性骨髄性白血病(以下「AML」)患者を対象とした第3相臨床試験(QuANTUM-R試験、以下「本試験」)において、主要評価項目を達成したことをお知らせいたします。また、本試験において安全性上の新たな懸念は認められませんでした。
本試験は、FLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAML患者 367名を対象とした欧米およびアジアにおけるグローバル第3相臨床試験で、主要評価項目は全生存期間(OS)*1です。初回寛解導入療法後に再発または難治性となったAML患者に本剤か既存の化学療法剤のいずれかを投与した結果、本剤は既存の化学療法剤と比較して全生存期間(OS)を有意に延長しました。本試験結果の詳細は、今後、学会にて公表する予定です。
当社は、本試験結果に基づき、再発または難治性のAML患者さんへ本剤を速やかに提供できるよう、国内を含めたグローバル承認申請に向けた準備を開始いたします。
キザルチニブは、米国食品医薬品局(以下「米国FDA」)よりFLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAML治療を対象としてファストトラック指定*2を、また米国FDA及び欧州医薬品庁(EMA)よりAML治療を対象としてオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けています。現在、本試験に加え、再発または難治性のAML患者を対象とした国内第2相臨床試験、およびAMLの一次治療の適応取得を目的としたグローバル第3相臨床試験(QuANTUM-First)を実施中です。
以 上
*1 全生存期間(OS)とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。
*2 ファストトラックとは、重篤で未充足の医療ニーズが高い疾患に対し、高い治療効果が期待できる薬剤の開発・審査の迅速化を目的とした米国における制度です。
(参考)
FLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病(AML)について
AMLは、骨髄における白血病細胞の異常な増殖の結果、正常な血液細胞の産生が著しく阻害され、治療をしないと短期間で致死的になる予後不良な血液疾患です。FLT3-ITD変異は、AMLにおいて比較的頻度の高い遺伝子変異であり、AML患者の約30%に認められると考えられています。FLT3-ITD変異を有するAML患者は、変異のない患者と比べ、再発率が高く生存期間が短いと考えられています。
第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。