第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-8201(HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)とキイトルーダ®(免疫チェックポイント阻害薬、一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約をMerck & Co., Inc.(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース)の子会社と締結しましたので、お知らせいたします。
本契約に基づき、当社は、HER2発現の乳がん及び非小細胞肺がん患者を対象とした両剤併用の第1相臨床試験を実施します。推奨用量を決定した後、4つの患者群、すなわちT-DM1の前治療を受けたHER2陽性の進行性乳がん患者群(コホート1)、標準治療を受けたHER2低発現の進行性乳がん患者群(コホート2)、抗PD-1/抗PD-L1抗体の前治療を受けていないHER2発現の進行性非小細胞肺がん患者群(コホート3)及び抗PD-1/抗PD-L1抗体の前治療を受けていないHER2変異のある進行性非小細胞肺がん患者群(コホート4)において、両剤併用の安全性、忍容性及び有効性を評価します。主要評価項目は最大耐用量、推奨用量及び全奏効率*2です。欧米において約125名の患者を登録する予定です。
当社は、DS-8201と標的の異なる他剤との併用療法により、DS-8201の価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります。
以 上
*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に特異的に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。
*2 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。
第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。