第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、Merck KGaA(本社:ドイツ ダルムシュタット)及びPfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク市)と、trastuzumab deruxtecan*1 (DS-8201、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*2)、アベルマブ(免疫チェックポイント阻害薬)及びMerck KGaAが開発中のDNA損傷応答阻害剤(以下「DDR阻害剤」)の併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約を締結しましたので、お知らせいたします。
本契約に基づき、当社は、HER2発現またはHER2変異のある固形がんの患者を対象として、trastuzumab deruxtecanを含む2剤または3剤併用の第1相臨床試験を実施します。
本試験は3つのパートから成ります。パートAでは、HER2発現の進行性固形がんを対象に、trastuzumab deruxtecanとアベルマブの2剤併用療法において安全性、忍容性及び有効性を評価します。パートBでは、HER2発現またはHER2変異のある進行性固形がんを対象にtrastuzumab deruxtecanとDDR阻害剤の2剤併用療法において安全性、忍容性及び有効性を評価します。パートCでは、HER2発現の進行性固形がんを対象に、trastuzumab deruxtecan、アベルマブ及びDDR阻害剤の3剤併用療法を評価します。
主要評価項目は最大耐用量、推奨用量及び全奏効率*3です。欧米及びアジアにおいて約200名の患者を登録する予定です。
また、上記の第1相臨床試験とは別に、アベルマブ及びDDR阻害剤に加え、Merck KGaAが保有する他の開発品とtrastuzumab deruxtecanの併用を評価する非臨床試験も実施予定です。
当社は、trastuzumab deruxtecanと作用機序の異なる他剤との併用療法により、trastuzumab deruxtecanの価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります。
以上
*1 trastuzumab deruxtecanの参考字訳:トラスツズマブ デルクステカン
*2 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に特異的に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。
*3 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。
第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体trastuzumab deruxtecan(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。