Backstory06 次世代ADC開発に取り組む研究者たち(後編)

2人の集合写真
研究開発本部 研究統括部 モダリティ第一研究所第五 G 太田一平Ippei Ota
研究開発本部 研究統括部 ディスカバリー第一研究所第二 G 高塚敦子Atsuko Takatsuka
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バトンをつなぐ 創薬研究を止めるわけにはいかない

「研究をしていると、どうしても作りたい化合物が作れないのは日常茶飯事です。それはもう毎回困難なのが日常で、うまくいくことのほうが少ないです」と太田さん。
困難に直面したときは、経験豊富な先輩や、他のプロジェクトに携わる同僚などにアドバイスを求めることで、道が開けることも多い。
「役職や経験は関係なく、お互いに非常に自由闊達な議論ができる環境です。各々が力を合わせて協力する中で、新しいアイデアが生まれたり、解決策が見つかったりして、それがプロジェクトの推進につながっているのだと思います」(太田さん)
「ADC の開発に関わる部所がみんな同じ建物に入っているので、部所を超えた繋がりがあって、皆さん親身になって相談にのってくれます。チームワークがよいところが、うちの会社の強みだと思います」(高塚さん)
第一三共の創薬は、サイエンスとテクノロジーを大切にする研究者たちが結束し、チームでバトンをつないでいくことで成果を生んでいる。
高塚さんは2人の子供の出産、産休を経て、子育てをしながらチームリーダーとして活躍している。それは、社内にチームプレーで仕事に取り組む体制が築かれているからだ。
「産休をとってもまた同じ仕事に戻れますし、仕事と子育てを両立している先輩・同僚たちが目の前にたくさんいるので、一時的に研究から離れることに不安はまったくありませんでした」(高塚さん)
「社内では、男女問わず当たり前に育休をとっています。自分が取り組んできた仕事を他の人にバトンタッチできる体制がしっかりと整っているし、産休・育休だけでなく、介護や留学、病気といったさまざまなライフイベントに対応しながらプロジェクトを進められる体制ができている。創薬研究には長い年月がかかりますが、いかに早く患者さんのもとへ薬を届けられるかが非常に重要です。途中で滞らせるわけにはいきません」(太田さん)
創薬研究は、長い時間のかかる難しい仕事だからこそ、多くの人の知恵と力を合わせてチームプレーで乗り切っていくことが必要なのだ。

太田一平さん

多様な人材がいるチームだからこそ、力を発揮できる

創薬研究のチームには、さまざまな専門分野の研究者が参加しており、専門分野だけでなく、タイプもさまざまだ。
「なかなか結果が出ない研究を継続していくためには、ポジティブであることが大切ですが、科学は疑問を持たないと進みません。都合のいい解釈をせずに、しっかり判断していく厳しい目をもつことが大事なので、慎重なことを言う人も大切です。いろいろな人がいるからこそバランスが取れて、チームとしてうまくいくのだと思います」(高塚さん)
第一三共の研究所には、新卒で入社した研究者だけでなく、中途採用の研究者も多い。そうした外からの新しい風を積極的にとりいれていく柔軟性も、特長の一つだ。
「自分が思っている常識も、どんどんアップデートしていかないといけないので、他の会社でキャリアを積んだ人が加わると、研究チームに良い変化が生まれますし、違う分野のバックグラウンドをもつ人の考え方を聞くのも、すごく面白い」(高塚さん)
創薬という極めて難しい課題に立ち向かっていくために、お互いを認め合い、切磋琢磨する研究者たちの姿がそこにある。少しでも早く薬を患者さんのもとへ、という熱い思いが、日々の研究のエネルギーとなって、研究者たちを突き動かしている。

一生のうちに世に出る薬の開発に携われたら幸せ

創薬研究に携わる研究者たちは、画期的な新薬を1つでも多く生み出そうと全力投球の毎日を送る。
「創薬で大切だといわれているのが、まず治療効果が高くて、完治を目指せること、がんの治療であれば、再発しないままどれだけ長く生きられるかということです。そして、できるだけ今までと同じような日常生活を送りながら治療できるということも、私たちは非常に大事にしています。そういったことを叶えられるような薬を作っていきたい。」と語る高塚さんの目は輝いて見える。
「社内でも、上市した薬の開発に携われた人は限られていて、薬を出せずにキャリアを終える方がいるのも事実です。その中で、何か一つでも革新的な医薬品の創製に関わって、患者さんに貢献することができたら本当に幸せなことだと思っています」と、日々直面する創薬の難しさ、そして患者さんへの思いを太田さんは語る。
がんの治療に限らず、まだ治療の選択肢の少ない病気はたくさんある。新しい治療薬を待ち望む患者さんへの思いを胸に抱きながら技術を磨き、困難な課題に日々挑み続ける第一線の研究者たちは頼もしい存在だ。

※所属等は掲載当時の情報

高塚敦子さん

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