第一三共グループでは、ダイバーシティを国籍・人種・性別・年齢などの属性面に加え、職種ごとに異なる専門性や考え方・価値観・宗教・ライフスタイルなども含んだ幅広い多様性と定義しています。そして、当社グループすべての社員が個々の多様性を積極的に受け容れることで、各々が最大限に実力を発揮することが可能になり、グローバルな事業展開やイノベーションの創出につながると考えています。この考えを前提に、グローバルと国内の両方の観点から社員が互いを尊重しあう風土づくりに取り組んでいます。
グローバルでの取り組みとしては、第5期中期経営計画の戦略の柱に含まれる「One DS Cultureの醸成に向けたCore Behaviorの実践」を推進しています。
グループ共通の核となる3つの行動様式(Core Behavior)の内の一つは「Be Inclusive & Embrace Diversity(当社グループは一人一人を個として大切にし、仕事を進める上で多様な視点を積極的に受け入れることで、より大きな目標を達成します。)」と定義されています。
2022年3月、このCore Behaviorの実践の一環として、グローバル組織全体でインクルージョン&ダイバーシティを推進していくため、グループ全社員に向けて「Global I&D Statement」を発表しました。インクルージョン&ダイバーシティ推進は、社員のエンゲージメント向上につながり、患者さんをはじめとする多くのステークホルダー、そして私たちが生活する多様な国・地域やコミュニティーへの貢献を可能にします。これを実現するため、「Global I&D Statement」では「Our Focus」を設定しています。
【Global I&D Statement】
"Be Inclusive & Embrace Diversity"
私たちは、一人一人を個として大切にし、仕事を進める上で多様な視点を積極的に受け入れることで、
第一三共としてより大きな目標を達成します。
第一三共グループは多様性を受け入れ、誰もが活躍できる組織風土を作ることに力を入れています。
それは、社員が自分の力を最大限に発揮し、イノベーションに繋げることで世界中の患者さんに貢献できると考えているからです。
Our Focus
国内の施策としては、一人一人が望む最適な働き方を実現する組織力の向上を目指しラインマネジャーへの教育を実施しています。新任のラインマネジャーに対しては「ジェンダーや年齢など職場での多様性に着目した個々人の違いを組織の活力に変え、どう成果創出に結びつけるか」を研修に組み入れて、2021年度は80名が受講しています。
また、社員一人ひとりがセクシュアリティに限らず個々の違いを受け入れ、本来の能力を発揮できる環境の実現・浸透を図ることを目的に、全社員を対象にした「LGBTに関するe-learning」の実施など、多様な側面からすべての社員が安心して能力を最大限発揮できる組織風土の醸成を進めています。
女性活躍推進
第一三共グループでは、「人」を最重要な「資産」であると位置づけ、ピープルフィロソフィーに基づき社員一人ひとりの多様性を尊重することが、持続的な成長に不可欠と考えています。
LGBTQ+等セクシュアルマイノリティへの取り組み
同性パートナーシップ(同性婚)への社内制度の適用
当社国内グループでは、これまでLGBTQ+に関する理解・周知を目的とした人事担当者向けLGBTQ+セミナーの実施、新任マネジメント職研修等のコンテンツへのアウティング*に関する注意事項組み込み、全社員対象のE-learningの実施を推進してきました。また、LGBTQ+の当事者・周囲の方にとっても働きやすい職場を目指し、LGBTQ+支援制度の導入、そして外部相談窓口の設置などに取り組んできました。
LGBTQ+支援制度としては、2020年10月より同性パートナーシップ(同性婚)を社内制度において法律婚における結婚・家族と同様に支援が受けられるように改定しています(法的な制約があるものを除く)。また、2021年度から、採用活動時のエントリーシートの性別欄を任意記入としました。そして2022年4月からは、セクシュアル・マイノリティのイベントである東京レインボープライドに協賛しています。
当社のこのような取り組みが認められ、任意団体「work with Pride」が策定した「PRIDE指標」において、2021年から4年連続で最高位である「ゴールド」を受賞しています。
<パートナー等を配偶者として認定できる制度(抜粋)>
- 結婚 …結婚時特別休暇、結婚祝金(共済会)
- 出産・育児…配偶者出産育児時の特別休暇、育児休業、短時間勤務、看護休暇、子ども手当、障害者扶養手当の支給、出産祝金、小学校入学祝金、特定不妊治療関連(共済会)
- 生活 …住宅手当の世帯主認定と社宅の家族世帯認定、団体保険への加入権付与、単身赴任手当、帰宅交通費の支給
- 家族の不幸…死亡・障害時の配偶者への補償、弔事時の特別休暇の取得可、死亡弔慰金
- 介護 …介護休業、介護休暇の取得、介護支援金
- 異動 …海外赴任関連(海外赴任手当・旅費、海外勤務手当、留守宅手当・社宅、一次呼び寄せ、帯同子女の教育費)、国内赴任関連(社宅下見、赴任手当、赴任時特別休暇、赴任旅費等)
今後も多様性を尊重した働きがいのある職場環境の整備を進め、社員一人ひとりが大切な一員として受けいれられ、個々の能力が最大限に活かされる組織風土の醸成を目指していきます。
関連リンク
「PRIDE指標2024」4年連続ゴールド受賞について
*性的指向・性自認について、本人の了解を得ずに、第三者に暴露する行為
高年齢者の雇用
国内において、定年を迎える社員が定年到達後も引き続き会社での雇用を希望する場合には、65歳までを上限に全員を再雇用しており、加えて2022年4月からは一定要件を満たす社員を対象に70歳までの就業延長制度を導入しました。2022年4月現在、60歳以上の社員は397名となっています。定年後再雇用者がさらに働きやすい環境を整備するため、今後も引き続き高年齢者の雇用・配置・処遇や労働環境の在り方などを総合的に検証していきます。
一方、将来の充実したセカンドライフ・セカンドキャリアを実現するためには、主体的・自律的に今後のライフ・キャリアイベントを考え、早い時期から準備・助走をしておくことが大切です。そのために三年次研修、ミドルキャリア研修といった若手から中堅社員層に対するキャリア研修を実施しています。また、シニア社員を対象としたライフプラン研修、ネクストステージガイダンスでは必要となる考え方や参考となる情報を提供し、一人ひとりが生涯現役で活き活きと活躍できるように支援しており、2017年度以降これまでに2,131名が参加しています。今後、Be inclusive & Embrace Diversityの観点からもますます高年齢者の活躍が重要になってくると考えており、今まで培った多様な経験、知識、スキル等を次の世代へ継承しつつ組織力をより強化していくための取り組みを進めていきます。
研修参加者数
障がい者雇用の推進
日本国内の障がい者雇用については、中期的な方針を定め、第一三共ハピネス(障害者雇用促進法に定める特例子会社*)をはじめとするグループ各社において雇用を促進しています。2021年3月より引き上げられた障がい者の法定雇用率2.3%に対し、当社の障がい者雇用率は2022年4月時点で2.38%となっています。また、苦情窓口の整備や就業上の配慮に関する面談の実施など、障がい者が働きやすい環境の整備を推進しています。第一三共グループとしての障がい者雇用の取り組みが評価され、障がい者を積極的に多数雇用している事業所や職業人として模範的な業績をあげている障がい者を対象とした「平成30年度障害者雇用優良事業所 厚生労働大臣表彰」を受賞しました。
*障がい者の雇用の促進および安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社。
障がい者雇用率の推移(国内グループ会社)
特例子会社の第一三共ハピネスは2007年に設立され、「私たちは、第一三共グループの企業価値向上のため、一人ひとりが仕事の主役として活躍し、障がい者雇用を通じて持続可能な社会の実現に貢献します」をミッションに掲げ、事業活動を展開しています。
障がい者が会社で活躍できるよう、業務工程の細分化や簡素化を行うことで、障がい者が持つ集中力や持続力等の能力を活かし、第一三共グループ各社からの業務を請け負っています。主な業務は、MRが情報提供活動で使用するセット袋作り、研究所・工場の作業着のクリーニング、実験器具洗浄、グループ社員の名刺印刷、機密書類の分別作業、社内郵便、清掃など多岐にわたっています。それぞれの適性に合った業務担当や業務別チームを構成するなど、就労環境の整備や一人ひとりの能力に配慮しながら、障がい者雇用を推進しています。
第一三共ハピネスにおける作業の様子
実験器具洗浄
郵便室業務
2021年3月、第一三共ハピネスが障害者雇用優良中小事業主認定(もにす認定)を取得しました。
もにす認定は、 障がい者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する、2020年10月にスタートした新しい認定制度です。 この認定制度により、障がい者雇用の取組に対するインセンティブが付与されることに加え、認定を受けた事業主の取組状況を、地域における障がい者雇用のロールモデルとして公表され、第一三共ハピネスも障がい者雇用の先進的企業として紹介されています。
「もにす」の意味は、共に進む(ともにすすむ)という言葉に由来し、企業と障がい者が共に明るい未来や社会に進んでいくことを期待し、名付けられたものです。
第一三共グループは2018年に障害者雇用優良事業所 厚生労働大臣表彰を受賞するなど、第一三共ハピネスをはじめとするグループ各社において障がい者雇用の促進を通じて社会に貢献しています。