コンプライアンス体制の継続的運用

第一三共グループでは、グローバルにおけるコンプライアンス、リスクマネジメント機能領域を担当するチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を任命しています。また「コンプライアンス推進規程」に基づき、当社グループのコンプライアンスに関する審議・決議機関である「企業倫理委員会」を設置しています。「企業倫理委員会」は、当社コンプライアンス・オフィサーを委員長とし、社内委員12名のほかに、委員会運営の透明性、信頼性を確保するために、社外弁護士1名を加えた計13名で構成され、原則として年2回開催されています(2023年度)。さらに、オブザーバーとして常勤監査役及び監査部長、事業管理部長が参加しています。当社の各組織におけるコンプライアンス・プログラムの推進については、各本部長・部所長がその責務を負っています。国内外のグループ会社においても、コンプライアンス・プログラムの統轄等に責任を持つコンプライアンス・オフィサーまたはコンプライアンス責任者が任命され、各社のコンプライアンスを推進しています。また、当社グループのグローバル・コンプライアンス体制の実効性を確保するため「企業倫理委員会」の諮問機関として「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」を設置し、CCOが議長を務め、当社及び欧米グループ会社のコンプライアンス・オフィサーを委員として、コンプライアンスに係るグローバル・ポリシーや当社グループのコンプライアンス年度目標などを検討しています。「企業倫理委員会」、「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」の審議内容については「年度コンプライアンス推進活動」として当社取締役会に報告しています。

2023年度コンプライアンス推進活動に関する取締役会報告事項

  • 企業倫理委員会審議・報告事項概要
  • コンプライアンス推進活動概要(グローバル・国内)
  • コンプライアンス抵触案件への対応
  • 2024年度グローバル・コンプライアンス目標

第一三共グループ個人行動規範の周知徹底

近年、グローバルに事業を展開する企業においては、各組織における個人の行動規範について、幅広い方針を策定することが求められています。2020年4月より、当社グループの役員および社員が遵守すべき行動のグローバルな統一基準をより幅広く、かつ明確にするため、「第一三共グループ個人行動規範」を制定、運用しています。また、当該ポリシーに関し、研修を定期的に行う等、周知徹底に取り組んでいます。
なお、「第一三共グループ企業行動憲章」および当該ポリシーに基づき、当社および国内グループ会社は、日本製薬工業協会の「製薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の内容も踏まえた共通の「コンプライアンス行動基準」を制定しています。海外グループ会社も、当該ポリシーに基づき、必要に応じてそれぞれの国・地域の法規制や特性に応じた社内規程を制定しています。引き続き、同規程等の一層の遵守・実践に努めてまいります。

第一三共グループ個人行動規範(参考訳付き)

コンプライアンス行動基準(420KB)

贈賄および腐敗防止に関するグローバルポリシーの浸透

贈賄等に関する規制は世界各国で年々強化されており、グローバルに事業を展開する企業にとって、贈賄および腐敗防止に対する取り組みがますます重要になっています。
当社グループでは、贈賄および腐敗行為の防止について、「第一三共グループ個人行動規範」においても明記していますが、一層の徹底を図るため、公務員や医療関係者に対する現金払いの禁止等、より詳細な内容を定める「第一三共グループ贈賄及び腐敗防止ポリシー」を制定し、運用しています。
当社グループでは、今後も贈賄及び腐敗行為の防止について研修等を行うことで、贈賄・腐敗行為防止体制の更なる強化に取り組んでいきます。特に贈賄等のリスクの高い国におけるビジネスについては、グループ会社との連携を強化し、引き続き対策を講じていきます。

第一三共グループ贈賄及び腐敗防止ポリシー(参考訳付き)(260KB)

通報制度の活用

現在、グループ共通の社外通報窓口としてグローバル・ホットラインを導入しています。社外通報窓口を統一しデータ管理を一元化することで、グループ全体のコンプライアンス違反を適時に把握し、より適切な対策を構築することで通報窓口の信頼性が向上し、風通しの良い職場環境を築くことに繋がると考えています。
グローバル・ホットラインは、コンプライアンスに関する通報・相談を24時間/365日受け付けており、当社グループ各社が所在する国/地域の言語で利用することが可能です。また、社員のみならず、各社のウェブサイトを経由して、社外の方からの通報・相談も受け付けています。
グローバル・ホットラインに加え、当社および国内グループ会社においては、それぞれ社内に専用電話やeメール等による内部通報窓口を設置・運用しています。また、ハラスメントに関する通報・相談窓口として、当社人事部、各事業場及び社外において、ハラスメント相談窓口も設置しています。
さらに、海外グループ会社のSenior Executiveの不正行為に関する疑いを各社コンプライアンス・オフィサーが把握した場合、当社グループのコンプライアンス責任者に直接通報・相談する制度(SEMRP:Senior Executive Misconduct Reporting Procedure)を導入し、運用しています。
なお、2022年6月1日施行の公益通報者保護法改正にともない、当社および国内グループ会社では公益通報等対応規程の改正を適時に行い対応しています。今後も継続してホットラインの意義や重要性だけでなく、通報者・相談者の保護についても伝えることで、ホットラインの実効的な運用に努めていきます。

2023年度コンプライアンス関連データ(グローバル)

  • 通報の受付数:315件
  • 対応策:受け付けた通報のうち、調査が必要と判断した案件については適切に調査を実施しました。そのうち、コンプライアンス違反と認定された案件については、行為者に対し、解雇を含む必要な懲戒処分を科しています。

注記:2023年度の本情報に含まれるデータは、当社グループ各社により、法律、雇用慣行および現地の方針・手順の地域差の影響を受けた個別の基準に基づき計算されたものです。

【VOICE】「風通しの良い職場環境の醸成にあたって」

鄭 世音
コンプライアンス・リスク管理部
エシックス&コンプライアンスグループ

コンプライアンス・リスク管理部エシックス&コンプライアンスグループでは、第一三共グループにおいて研修、規程管理、内部通報対応など、様々なコンプライアンス推進活動に取り組んでいます。その中で根本的な要素である風通しの良い職場風土の醸成のため、私は2023年度に、品川RDセンターや平塚製薬技術開発センター、本社で行われた各種社内イベントや全国の医薬営業部全体会議に参加いたしました。各会場ではコンプライアンスブースを設置して、全国の皆さんからコンプライアンスに対する多様な想いを記載頂き、展示しました。この取組みにより、従業員のコンプライアンスへの意識を肌で感じることが出来ました。皆さんの想いは、「家族に恥ずかしくない行動をすること」「相手の意見に傾聴すること」「自分の意見を躊躇せずに述べること」「周囲の人々と円滑なコミュニケーションを取ること」など、多岐にわたりました。全てのコメントに共通していたのは、第一三共グループの社員が毎日安心して働ける職場環境の中で、自身の力量を発揮し、会社に貢献したいという願いです。従業員がお互いの声に耳を傾け、自由に発想・発言できるより良い職場環境を創り上げ、第一三共グループのパーパスである「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」ことができるよう、エシックス&コンプライアンスグループの一員として、引き続き取り組みを継続していきます。

2023年度Technology Meetingコンプライアンスブース

コンプライアンス研修・意識啓発活動

コンプライアンス推進には、コンプライアンス研修や教育・啓発活動の継続的な実施が不可欠です。
当社および国内グループ会社の各部所では、コンプライアンス意識の向上および高い倫理観や風通しの良い職場風土の醸成のため、共通のオリジナル研修資材を活用した少人数グループによる討議形式のコンプライアンス対話会を定期的に実施しています。
また、当社取締役、監査役、執行役員、国内グループ会社の社長および監査役を対象に、外部講師を招いたコンプライアンス研修を定期的に実施しています。当社および国内グループ会社新入社員、新任マネジメント職等については、それぞれ階層別に毎年コンプライアンス研修を実施しています。
海外グループ会社では、各地域の状況に応じて、対面やeラーニングによるコンプライアンス研修等を実施しています。
さらに、国内外の全てのグループ会社に対し、コンプライアンスの重要性に関する当社CEOのメッセージを定期的に(年に2回)発信するなどの啓発活動を行うことで、当社グループにおけるコンプライアンス意識の一層の向上に努めています。

コンプライアンス意識調査の実施

当社グループでは事業基盤マテリアリアリティ「コンプライアンス経営の推進」への取り組みの一環として、国内外のすべてのグループ会社の役員および社員を対象として企業風土に関するグローバル意識調査を毎年実施し、2025年度までKPIとして計測しています。また、当社および国内グループ会社では、役員および社員を対象として定期的にコンプライアンス意識調査を実施し、当社グループにおける企業理念、コンプライアンス関連規範等の理解度やコンプライアンスの実践状況、社内体制の整備状況などを分析し、強みと課題を把握しています。前回(2023年度)の役員および社員約9,800名を対象とした調査結果を当社及び国内グループ会社におけるコンプライアンス推進活動に活用しています。

to Page Top