一部の感染症には、初めて感染する時に死亡や予後が不良となるリスクがあります。その様な感染症に対するワクチンをあらかじめ接種すると、その感染症と闘う免疫をつけることができます。すなわちワクチンの接種を受けていれば感染を防いだり、感染しても軽症となる可能性があります。
ワクチンは、自分が感染症にかからないための、またはかかっても重症化しないための「個人を守る」ものです。加えて、自身が免疫を持つことで、自身の周りにいる免疫を獲得できない人や感染すると重症化しやすい人を感染症から守ったり、爆発的な広まりを抑えたりする効果があり、ワクチンは「社会全体を守る」ものとなります。
かつて天然痘が根絶されたように、ワクチンは「感染症そのものを制圧・根絶」させることもできるのです。

2009年に発生した新型インフルエンザの流行および、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を契機に、日本においてもパンデミックに備えるという意識の高まりに加え、予防医療の重要性に対する認識の向上から、ワクチンへの医療ニーズが高まってきています。

第一三共グループは、ワクチン事業を展開する国内の製薬企業としての社会的責任を十分に認識し、日本の予防医療を取り巻く環境の充実と国の安全保障とも言える保健衛生の向上を目指して、本事業を推進しています。

新型コロナウイルス感染症に対しては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)感染症実用化研究事業・新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業で実施中の「新型コロナウイルス(2019-nCoV)の制圧に向けての基盤研究」(研究代表者:東京大学医科学研究所・河岡義裕教授)に参画し、当社が見出した新規核酸送達技術*を用いた「新型コロナウイルス(2019-nCoV)に対する遺伝子ワクチン開発」を分担しております。
当社は、ワクチン事業を展開する国内の製薬企業として、COVID-19流行の早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、共同研究先である東京大学等の外部機関との連携により、本mRNAワクチンの研究開発を推進し、早期供給が可能となるよう取り組んでまいります。

* 当社が見出した新規核酸送達技術は、脂質ナノ粒子構造を形成し、医薬品有効成分の安定化ならびに免疫細胞内への核酸デリバリーを実現することで、従来型ワクチン技術と比較して、より至適な免疫応答を誘導することを確認しています。

事業体制について

第一三共は、ワクチン事業全体(研究・開発、CMC研究、生産、流通・販売、信頼性保証、安全管理)の役割を担い、第一三共グループで唯一のワクチン製造を担う生産機能会社である第一三共バイオテック株式会社との連携を通じて、国民の皆さまに必要なワクチンの創出と安定供給を推進し、保健衛生の向上に貢献して参ります。

製品について

第一三共は、インフルエンザHAワクチン、はしか風しん混合生ワクチン等を中心としたワクチンを安定的に供給して参ります。
また、革新的なワクチンを提供するため、新たな基盤技術の確立および実用化に向け研究開発を推進しています。

第一三共バイオテック

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