日本国内のSociety5.0時代のヘルスケアにおいて、多様なデータや先進技術を活用し、一人ひとりに寄り添った最適なサービスを提供する社会の実現に向けて「Healthcare as a
Service」に取り組んでいます。
患者さんや生活者一人ひとりの困りごとを従来の医療の枠を超えて解決しWell-Beingを実現するために、健康・医療領域の企業・団体やデータプロバイダー・IT企業などと協業し、健康促進~予防~治療~予後ケアに亘るトータルケアエコシステム構築を始めています。また、分散した健康・医療領域のデータを個人に紐づくようにまとめ、データ流通・活用を可能とするトータルケアプラットフォームの構築も進めています。患者さんや生活者の困りごとを新たな医療サービス創出につなげるとともに、当社モダリティの研究開発を高度化していきます。これらを通じてトータルケアの実現と社会にイノベーションの促進、社会保障費削減、医療資源の最適化、医療アクセス改善、労働力確保、健康寿命延伸、経済発展等の新しい価値を提供します。
情報セキュリティ
堅牢なサイバー環境で企業資産を守る
データと先進デジタル技術の利活用を進めるうえで、情報は企業の重大な資産です。第一三共グループ全体で機密情報の流出・改ざんリスク、生産ライン停止リスク、製造物責任・訴訟リスクに対する最適なセキュリティ対策を実施し、堅牢なサイバー環境を実現していきます。
情報セキュリティマネジメント体制の整備・強化
私たちは、製品の安定供給と信頼性のある情報を顧客に提供するために、情報セキュリティに関するグローバルポリシーを制定し、Head of Global Information
Securityを設置し、そのリーダーシップのもと、グローバルにおける情報セキュリティ対策を行っています。また、情報管理機能を含むデジタル領域の最高責任者であるCDXO*1が全体を統括し、執行に対する監督を行っています。
同ポリシーで言及している情報およびシステム資産には、当社グループ内に限らず、取引先等のビジネスパートナーや顧客の情報を含む情報および情報が保存されるデータ、媒体、情報システム、産業システムが包含されています。また、国内グループ会社間で取扱管理策を共通化し、継続的な見直しを行い、情報管理の徹底を図っています。一方、情報セキュリティにおいては、グローバルでのセキュリティ対策の実施水準を高めることを目指しています。そのために、私たちは第一三共グループ情報セキュリティスタンダードを制定し、その遵守状況を評価しています。そして、その結果に基づいて継続的な改善を行っています。また、2023年度からは当該機能をDX推進部門に移管し、デジタル機能と共同してグループ全体の情報セキュリティをさらに強化しています。セキュリティの脅威から情報資源を守るためには、全ての社員の意識啓発が重要であり、各社の状況に合わせた社員への情報セキュリティ啓発活動として、サイバー攻撃の手口の解説や標的型メール等に対する意識啓発、注意喚起を継続的に実施しています。
*1 Chief Digital Transformation Officerの略
サイバーセキュリティへの対応
近年増大しているサイバー攻撃への対応機能としてCSIRT*2をHead of Global Information
Securityのリーダーシップのもとに運営し、外部セキュリティパートナーの協力のもと24時間体制でのセキュリティ監視を実施、発生したインシデントに対して迅速に対応する体制を整備しています。
サイバー攻撃の脅威に対しては、同業・他業種といった他組織と連携することが重要であり、社外の専門組織や他社CSIRT等の社外セキュリティチームと連携することにより、サイバーセキュリティに関わる情報を収集し、当社グループとしてのセキュリティ施策を立案・推進しています。また、社外との協力関係を構築することで、当社グループ内だけでなく社会全体のセキュリティ向上に貢献することを目指し、CSIRTを中心として継続的に活動しています。
*2 企業等におけるコンピュータセキュリティに関するインシデント対応を行う枠組み
Operational Technology(OT)セキュリティへの対応
当社の使命である高品質な医薬品の安定供給を果たすために、医薬品の製造プロセスに関わる制御装置やシステムへのサイバー攻撃リスクへのセキュリティ(OTセキュリティ)施策を推進しています。
具体的には、製造拠点における推奨セキュリティ技術施策を整理した標準モデルやOTセキュリティリスクを特定し管理するための評価・管理プロセス等を設計し、セキュリティ対策を推進しています。これらの対策により、品質管理や安定供給におけるリスクを最小限にし、患者さんへの医薬品提供に貢献しています。
グローバルDXガバナンスと人材育成
データとデジタルを駆使するグローバル組織体制
グローバルDXはグローバルコーポレート機能の1つとしてCEOとCOOの第一三共グループ経営戦略立案および経営の執行と円滑な推進管理をサポートしています。Chief Digital Transformation
Officer(CDXO)を実務執行責任者とし、グローバルにデジタル戦略、ITおよびデータ利活用に関するグローバルガバナンスを強化しています。
*DSI:DAIICHI SANKYO, INC.(第一三共 INC.)(アメリカ)、DSE:DAIICHI SANKYO EUROPE GmbH(第一三共ヨーロッパ GmbH)(ドイツ)
全社DXを推進する風土醸成と人材育成
各組織のDX人材像の
定義と育成計画
各種資格取得のサポート
スキルに合わせた
トレーニングの提供
グローバル体制を深化させ、全社一丸となってデータと先進デジタル技術を活用していくための企業風土醸成や人材育成・確保、組織間コミュニケーションを進めています。また、最新の技術や最適な技術をいち早く取り入れ活用するという観点から外部連携にも注力しています。
人材育成においては、全社員の育成としてITパスポートやデータサイエンティスト検定、G検定取得を推奨する*とともに、DX推進スキル、データ分析スキル向上プログラムを導入しています。また、各組織のDX推進に必要な人材育成計画を策定し推進しています。これ以外に、リテラシー向上策として定期的なセミナーや短編動画の配信にも力を入れています。
* ITパスポート 約2千名が合格(2023年12月時点)
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外部表彰・認定
社会から認められるレベルでDXを推進
第一三共は、DX銘柄やDX認定を取得しています。
DX銘柄
第一三共は、2024年5月27日付で、経済産業省、東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2024」に選定され、2年連続での選定となりました。
DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定するものです。
当社のDXは、中長期で価値を創出し続けるための一元的なDX推進体制、統合データ分析基盤や人材の多様性を強みとし、以下のような活動を通して、企業価値に貢献しています。
- AI・機械学習やビッグデータを活用した創薬の革新、各バリューチェーン活動の効率化・品質向上・高度化の実現
- 全従業員対象の生成AIの本番運用開始など、着実なDX推進
- RPAによる業務効率化や市民開発を通じたデジタルリテラシー向上
- メタバース空間を用いた業務利活用アイディエーションワークショップ等の実施によるDX風土醸成
- HaaS(Healthcare as a Service)の実現に向けた新規ビジネスモデルの開発の推進
DX認定
第一三共は、2023年1月1日付で経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。DX認定とは、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の認定要件を満たしてDX推進の準備が整っている事業者(DX-Ready)を「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業大臣が認定する制度です。
2022年9月にコロナ禍やデジタル人材育成・確保などの時勢の変化に対応するために必要な改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」が経済産業省により策定されました。この度の当社の「DX認定事業者」選定は「デジタルガバナンス・コード2.0」の認定要件を満たしたものとなります。