DX - データと先進デジタル技術の活用

私たちは企業理念およびビジョンの達成や社会の要請に応えるために必要なあらゆるDXを推進しています。
バリューチェーン全体にわたる高品質なデータの創出・活用による高い価値の創造、データと先進デジタル技術の効果的活用による新しい価値・新規治療ソリューションの創製、デジタルイノベーションによる業務プロセス・コミュニケーション・コラボレーションの革新、DXを支えるIT基盤の整備と運用を推進しています。

第一三共グループグローバルDX推進ポリシー

DXビジョンと戦略

2030 DXビジョン 先進的グローバルヘルスケアカンパニーとして、
データとデジタル技術を駆使してヘルスケア変革に貢献する

第一三共は、上記の2030DXビジョンを掲げ、新薬における創薬から臨床開発、サプライチェーン、販売・情報提供までの一貫した製薬バリューチェーン全体をDXにより革新し、一人でも多くの患者さんに1日でも早く新薬を届けるための取り組みを行っています。

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データの利活用による価値創出

データは21世紀の石油とも言われるほど、あらゆる産業や国の競争力を生み出す重要な資産です。当社グループでは、データを貴重な戦略資産と捉え、広範囲なデータをビジネスや経営に積極的に活用しています。データを利用して過去分析や将来予測を行うことで、あらゆる意思決定に役立てることができます。
また、分析されたデータが潜在的な顧客ニーズやインサイトとして反映され、新たなビジネスや製品の付加価値を生むこともあります。例えば、「医薬品の効用を高めるための成分の配合や、培養方法を最適化する」「臨床で注目されている副作用を可視化する」「新薬申請に必要となる膨大な文章の作成にAIを活用する」「リアルワールドデータの活用により適応症を拡げる」「リアルワールドデータの活用によって新たなエビデンスを創出する」といったことが挙げられます。データ利活用によって、私たちは競争力を高め、持続的な成長を実現していきます。
そのために、当社は『グローバルデータガバナンスポリシー』を制定し、規制やコンプライアンスに準拠した安全かつ信頼できるデータ資産の構築とその有効活用を推進しています。これらの活動により業務の効率化だけでなく、新たな発見や示唆が得られるようになり、創薬や情報提供活動に活かしています。データ解析をリアルタイムかつ迅速に行うことで、データに基づく経営から各組織レベルまでを含む全社の意思決定を機動的に支援しています。

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先端デジタル技術活用による全社変革

先進デジタル技術の活用による全社変革は、当社の仕事の在り方を根本的に変えることができます。テクノロジーの進歩は速く、かつては実現不可能だったことが現実的な解決策に変わることがあります。当社DX推進部門では、社内の課題や変革ニーズにマッチする新しいテクノロジーを探索・評価しています。
また、全社的な変革を実現するために、DX推進部門と各組織間の連携を強化し、双方向のコミュニケーションを通じて組織目標を達成するための戦略課題や変革ニーズを収集し、これらの情報を基に、変革に向けた施策の検討や実行を支援しています。私たちは先進デジタル技術の活用により、より効率的な業務プロセスの実現や新たな価値創出に向けた活動に取り組んでいます。

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DXによる全社変革推進のためのIT基盤整備

私たちの2030年ビジョンは「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」になることです。この目標を達成するためには、第一三共グループの経営戦略や事業戦略を実現するためのIT基盤の整備が必要不可欠です。

各バリューチェーンにおけるDX事例

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創薬

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データドリブン創薬

2019年度から組織化した取り組みを進め、データサイエンスプラットフォーム構築と適切なデータ解析による、創薬研究プロセスの加速と効率化、そして新たな開発化合物への創出貢献を実現しています。これらの取り組みを通じて得た成果を礎に、現在は最先端コンピューター資源の活用やスマートラボ化*に取り組み、対象モダリティを含め、創薬におけるDXの幅をさらに広げています。また、Enthought社などと協業し、人材育成を通じてAI創薬を含めた創薬DXを継続的に加速する基盤の構築および強化を推進しています。 *AI、IoT、ロボット等を活用して、研究機器の自動化や必要な遠隔業務環境の構築

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データ分析・解析環境の整備による研究開発スピード向上

私たちは、膨大な研究・開発データを分析・解析する時間を短縮することで、患者さんにいち早く新薬を届けることを目指しています。膨大なデータを安全に保存し、需要に応じて拡張できる環境を整備しています。また、AI、IoT、ロボット等を活用した研究過程の自動化(スマートラボ化)を推進し、研究者が新薬創製アイデアを考えるクリエイティブな時間を創出しています。

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臨床開発

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臨床試験のステータスおよびリスクの分析と可視化

私たちは臨床試験に対する複数の集計・分析支援ツールをIDAP上で開発しています。これらのツールは、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾など世界中の700人以上の、臨床試験を担当している社員が利用しています。
最もよく使用されるツールは、”Performance & Delivery (P&D) Dashboard”です。これは、私たちが実施している世界中の臨床試験のステータスとポートフォリオ全体の健全性を評価するツールです。これにより、進行中の臨床試験の透明性を高め、重要なリスクや問題を特定し、それらを軽減する策を立てることが可能になります。さらに、各試験の国別の治験施設の立ち上げ状況、症例登録状況を可視化することもできます。

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リアルワールドデータ活用による開発品質の向上

膨大な容量のリアルワールドデータ*(RWD)は各企業や機関にばらばらに存在していることから、その分析の多くは社外に委託して実施していましたが、当社はRWDをIDAPに格納し、社内でデータ抽出、加工、分析までを一貫して実施できる仕組みを整えました。機動的にRWDを活用することができるようになり、自社の臨床試験データだけでは知りえない様々な知見を得ることができます。これにより、規制当局への申請、臨床開発プログラムの設計において、不確実性を低減し、より効率的で効果的な医薬品開発や使用方法を確立することにつながっています。
さらに、費用対効果評価、製造販売後調査や臨床研究にもRWDを活用し、育薬に必要なエビデンスを早期に提供する取り組みを行っています。日本では患者さんに最適な治験薬を届けるために、がんの遺伝子変化を調べるプロジェクトSCRUM-Japan疾患レジストリ**データを当社がん開発品の一部変更承認申請の際に活用し、その有効性に対する臨床的意義を科学的に示しました。米国では当社開発品の承認申請時の参考資料でRWDを活用しています。 *ここでは、さまざまなデータソースから日常的に収集される患者の健康状態や医療の提供に関するデータ **患者さんに最適な治験薬を届けるために、がんの遺伝子変化を調べるプロジェクト

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サプライチェーン

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グローバルでの品質一元管理

私たちは、低分子化合物からADC、細胞治療、mRNAワクチン、核酸といった多様なモダリティを扱い、それぞれに対する品質保証を徹底しています。さらに、がん治療薬の販売国が拡大するにつれて、各国の規制に合致した品質保証が必要となりました。このような状況に対応すべく、私たちは品質問題の早期解決やリスク軽減を目指し、強固な品質保証体制をグローバルに確立しました。具体的には、品質管理プロセスを統一し、品質情報をグローバルレベルでリアルタイムに一元管理するIT基盤を導入しました。

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需給生産情報の一元管理による安定供給

当社のがん製品の販売国が拡大し、新規適応が追加されるなど、患者さんからの治療薬に対する需要が増加しています。このような需要の変化に素早く対応し、患者さんに高品質な治療薬を安定して供給するために、私たちは製造において国内外の自社工場だけでなく、CMO(医薬品製造受託機関)も活用しています。このためにグローバルに高度な供給計画が求められています。
これらを実現するために効率的で正確な需給生産情報の一元管理を可能にするIT基盤を導入しました。また、自社生産拠点では、スマートファクトリーを実現するために、製造品質データ管理システムの導入およびデータ共有・分析基盤の構築を推進しています。これらの取り組みにより、私たちは患者さんからのニーズに迅速に対応し、適切な供給計画を立てることができます。これは、患者さんに安定して高品質な治療薬を供給するための重要なステップであり、私たちはこれを通じて患者さんの治療に貢献してまいります。

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販売・情報提供

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タイムリーな安全性情報モニタリング

当社は拡大するがん製品や新規モダリティ(治療手段)を含む開発から市販後までの全製品の高品質な安全性情報を迅速に提供することで、患者さんの安全確保に尽力しています。昨今は開発品の新たな適応追加や市場拡大に加え、アストラゼネカ社やメルク社との提携に伴うタイムリーな安全性情報モニタリングが急増しています。これに対し、私たちは安全性分析ツールや症例評価プロセスをグローバルに一元管理するIT基盤を整備し、ファーマコビジランス機能の基盤を強化しています。

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医療関係者・患者さんへの情報提供の個別最適化

COVID-19の影響により、私たちのMR(医薬品情報担当者)活動は大きく変化しました。対面での情報提供に加え、非対面での活動も必要となり、それぞれの医療関係者とのコミュニケーション方法が多様化しました。当社は医療関係者一人ひとりに合わせた最適なMR活動を推進できるよう、デジタルチャネルを活用した多角的でシームレスな活動を支援する情報提供基盤を整備しました。
さらに、プライマリ領域からがん領域へと事業の重点を移す中で、当社のプレゼンスを確立するために、幅広い領域の製品を有する当社ならではの大量のデータを活用する環境を整備しました。また、これらに対応するデジタル人材の育成にも注力しています。
私たちはこれらの取り組みを通じて、医療関係者に最適な情報を提供し、患者さんの治療に役立つ情報を提供することを目指しています。それにより、患者さんが最適な治療を選択できるようサポートしています。

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チャットボットによる医療関係者・患者さんへの迅速な情報提供

当社は2018年当時、業界として初めて、AIを活用した全製品対応のコールセンターQ&Aシステムを導入し、製品問い合わせへの応対品質の向上に繋げてきました。2019年にはその利用範囲をMRに拡大、2021年には顧客からのWeb上での情報提供ニーズの高まりを受け、医師・薬剤師向けのDrug Informationチャットボット「いつでもDI 24」を公開しました。当社はAIを活用することで、患者さんや医療従事者が必要かつ最適な製品情報を迅速に入手・活用できる環境を整備し、当社製品の適正使用を推進しています。

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全体

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データ利活用のための価値創出を推進する組織の発足

バリューチェーン全体にわたる高品質なデータの創出およびそれらの活用による高い価値の創造というミッションの下、多様なデータソースから信頼性の高いデータを収集・蓄積し、それらを分析することでバリューチェーン全体にわたって高い価値を創造するために必要な機能をグローバルに集約する組織 Data Intelligence Center of Excellenceを発足させました。
データ利活用の戦略立案、データガバナンス、データサイエンス及び統計科学、AIや機械学習技術の応用などの機能を集約し、シナジーとエコシステムを創出し、リアルワールドデータを含む多様なデータの活用などがグローバルに展開・推進できるようになっています。

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全社データ基盤(IDAP)

データ利活用への期待とニーズが高まる一方で、これまでデータの利活用においては組織やシステム間でデータがサイロ化しており、データを効率的に連携させ、処理・分析することが困難という課題がありました。これを解決するため、全社データ基盤としてIntegrated Data Analytics Platform(IDAP)を構築しました。IDAPは社内外の異なる目的や領域で収集されたデータを効率的に統合、管理することで、用途に応じてデータを加工し、解析システムを用いてアウトプットを創出する仕組みです。

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資源計画システム刷新によるデータ駆動型経営の推進

データ駆動型経営の実現を目指し、プロジェクト4D(Daiichi Sankyo Data-Driven Decision Making)を発足しました。このプロジェクトでは、ERP(Enterprise Resources Planning)システムの刷新を通じて、グローバルでのビジネスプロセスから生み出されるデータの標準化を進め、経営情報の統合を図っています。
具体的には、IDAPを活用し、経営情報をグローバルレベルでタイムリーに可視化しています。ERPの刷新が完了すると、各組織の意思決定のスピードアップや、より高度な予算管理・実績モニタリング、効率的な製品需給調整などが可能となります。

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グローバルでのコミュニケーション・コラボレーション基盤整備

がん製品のグローバルにおける提供開始に伴い、当社事業のグローバル化は加速しており、地域間のコミュニケーションやコラボレーションが以前に増して、重要になっています。また、第一三共グループでは企業文化「One DS Culture」を作り上げ、世界中の社員が協力・信頼し合いながら当社のパーパス・ミッション・ビジョン実現に向けて効果的に連携できる職場の実現を目指しています。これらの一環として、グローバルでコミュニケーション(メール、チャット、社内SNS等)やコラボレーション(文書共有基盤)基盤を共通化し、社員間のシームレスな連携によりOne DS Cultureの醸成や生産性の向上に繋げています。

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業務プロセスの見える化と自動化

当社に限らずビジネス環境では、RPA(Robotic Process Automation*)をはじめとした様々な自動化テクノロジーの活用が普及しています。当社もRPA活用を進める一方、RPAという手段に留まらない業務変革・改善に繋げることが真のDXであると捉え、Process Discovery and Automation as a Serviceとして全社の業務変革の種を掘り起こし、業務変革・改善の支援を推進しています。この取り組みを通じ、業務変革の輪を広げ、その先のグローバルレベルで波及するDXの機会創出を目指しています。 * 人が行うPCを用いて行う業務をロボットで自動化できるツール

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生成AI活用による生産性向上

業界やバリューチェーンにとらわれない新たな可能性を追求するために、当社は社内の機密情報とプライバシーを保護した独自の生成AIシステム「DS-GAI(ディーエス・ガイ)」を開発し、2023年9月より全社運用を開始しました。DS-GAIでは、プロンプト入力のヒントの提供や全社での具体的な活用例の共有サイトを開設するとともに、講演会やアイディエーションワークショップなどの施策を通して、利活用を促進しています。運用開始からわずか2カ月で、1日平均利用者数が500名を超え、迅速に社内で浸透しています。
DS-GAIはアイデア出しやコーディング支援、文章作成、学習、分析など幅広い用途で活用されており、さらに、コード生成の機能を利用してプログラミングの専門知識なしに自分自身でアプリをカスタマイズするなど、新しいスキルを身につける社員もおり、想定を超えた活用につながっています。これらの成果は作業効率やアウトプットの品質向上に貢献するだけでなく、新たな仕事の在り方を互いに学び合い、変革させていくといった全社の風土にも大きな影響を与えています。

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画像AI技術の活用による創薬・製剤工程の自動化と効率化

2022年7月、当社は高度な画像AI技術を有するエルピクセル社*との包括的な提携基本契約を締結しました。この提携により、全社における画像AI活用ニーズの顕在化、技術導入プロセスの迅速化とリードタイムの短縮を実現しています。さらに、知見を共有する仕組みを構築し、画像AI利活用や社員の技術応用力向上が促進されています。探索研究から臨床試験、製造、市販後の全てのバリューチェーンにおいてAIモデルの開発に向けた予備解析や概念実証を進め、実運用に至った事例も複数創出されています。例えばスマートラボ化**の一環として、中量合成装置におけるリアルタイムでの液量測定、および分液界面検知により、実験操作の自動化を実現しました。また、製剤工程における凍結乾燥のマニュアル作業を自動化し、開発の効率化を目指しています。
これらの取り組みは、当社が主力とするがん事業における創薬・製剤工程の自動化や工程短縮による原価低減、品質管理の高度化に貢献しており、当社事業を支えています。 *ライフサイエンスと画像解析技術の融合分野におけるリーディングカンパニー **AI、IoT、ロボット等を活用して、研究機器の自動化や必要な遠隔業務環境の構築

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翻訳AIによる業務効率化

ロゼッタ社との包括的な協業によって、当社グループの全従業員が、高精度なAI翻訳を自由に利活用できる環境を整備しています。更に、当社が保有する社内翻訳資産を活用し、当社独自翻訳AIモデルをロゼッタ社と共同開発し、翻訳精度も高めています。2020年4月から順次社内リリースを進め、2021年3月までに10モデルの社内リリースを完了。導入後4年経過しましたが、現在でも様々な業務領域で活用されています。

Healthcare as a Serviceの実現

トータルケアエコシステム・トータルケアプラットフォームの構築

日本国内のSociety5.0時代のヘルスケアにおいて、多様なデータや先進技術を活用し、一人ひとりに寄り添った最適なサービスを提供する社会の実現に向けて「Healthcare as a Service」に取り組んでいます。
患者さんや生活者一人ひとりの困りごとを従来の医療の枠を超えて解決しWell-Beingを実現するために、健康・医療領域の企業・団体やデータプロバイダー・IT企業などと協業し、健康促進~予防~治療~予後ケアに亘るトータルケアエコシステム構築を始めています。また、分散した健康・医療領域のデータを個人に紐づくようにまとめ、データ流通・活用を可能とするトータルケアプラットフォームの構築も進めています。患者さんや生活者の困りごとを新たな医療サービス創出につなげるとともに、当社モダリティの研究開発を高度化していきます。これらを通じてトータルケアの実現と社会にイノベーションの促進、社会保障費削減、医療資源の最適化、医療アクセス改善、労働力確保、健康寿命延伸、経済発展等の新しい価値を提供します。

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私たちが目指すトータルケアエコシステムの概念をこちらの動画でご覧いただけます。

音量を上げてご視聴ください。

治療用アプリ(DTx)の開発

患者さんや生活者の困りごとに対して当社が開発するモダリティの一つとしてDTx開発も進めています。DTxとは、有用性のエビデンスに基づき患者さんに直接的に医療介入(治療、管理、予防)を行うソフトウェアで、医療機器としての許可(製造販売承認)を見据えて開発しています。DTxにより、薬物治療に留まらず、患者さんの在宅期間を含む治療空白期間を埋め、Well-Beingに繋げることを目指しています。 DTx開発の領域として、現在、がん患者さんのQOL向上に向けてCureApp社とがん治療を支援するモバイルアプリケーション開発の提携をし、臨床研究の準備を進めています。がんの薬物治療は外来診療により行われることが多く、病院外における患者さんの日々の倦怠感や疼痛等の症状や薬物治療による副作用の適切な管理とケアが望まれています。がん患者さんやそのご家族やケアラーが少しでも安心して生活を送ることに貢献したい考えています。 また、こうした従来の医薬品(薬物)とは異なるDTxに関する開発等の意思決定を迅速に推進するために、社内でDTxコミッティとして体制を構築しています。

HaaSの取り組み詳細情報はこちら

情報セキュリティ

堅牢なサイバー環境で企業資産を守る

データと先進デジタル技術の利活用を進めるうえで、情報は企業の重大な資産です。第一三共グループ全体で機密情報の流出・改ざんリスク、生産ライン停止リスク、製造物責任・訴訟リスクに対する最適なセキュリティ対策を実施し、堅牢なサイバー環境を実現していきます。

情報セキュリティマネジメント体制の整備・強化

私たちは、製品の安定供給と信頼性のある情報を顧客に提供するために、情報セキュリティに関するグローバルポリシーを制定し、Head of Global Information Securityを設置し、そのリーダーシップのもと、グローバルにおける情報セキュリティ対策を行っています。また、情報管理機能を含むデジタル領域の最高責任者であるCDXO*1が全体を統括し、執行に対する監督を行っています。
同ポリシーで言及している情報およびシステム資産には、当社グループ内に限らず、取引先等のビジネスパートナーや顧客の情報を含む情報および情報が保存されるデータ、媒体、情報システム、産業システムが包含されています。また、国内グループ会社間で取扱管理策を共通化し、継続的な見直しを行い、情報管理の徹底を図っています。一方、情報セキュリティにおいては、グローバルでのセキュリティ対策の実施水準を高めることを目指しています。そのために、私たちは第一三共グループ情報セキュリティスタンダードを制定し、その遵守状況を評価しています。そして、その結果に基づいて継続的な改善を行っています。また、2023年度からは当該機能をDX推進部門に移管し、デジタル機能と共同してグループ全体の情報セキュリティをさらに強化しています。セキュリティの脅威から情報資源を守るためには、全ての社員の意識啓発が重要であり、各社の状況に合わせた社員への情報セキュリティ啓発活動として、サイバー攻撃の手口の解説や標的型メール等に対する意識啓発、注意喚起を継続的に実施しています。 *1 Chief Digital Transformation Officerの略

サイバーセキュリティへの対応

近年増大しているサイバー攻撃への対応機能としてCSIRT*2をHead of Global Information Securityのリーダーシップのもとに運営し、外部セキュリティパートナーの協力のもと24時間体制でのセキュリティ監視を実施、発生したインシデントに対して迅速に対応する体制を整備しています。
サイバー攻撃の脅威に対しては、同業・他業種といった他組織と連携することが重要であり、社外の専門組織や他社CSIRT等の社外セキュリティチームと連携することにより、サイバーセキュリティに関わる情報を収集し、当社グループとしてのセキュリティ施策を立案・推進しています。また、社外との協力関係を構築することで、当社グループ内だけでなく社会全体のセキュリティ向上に貢献することを目指し、CSIRTを中心として継続的に活動しています。 *2 企業等におけるコンピュータセキュリティに関するインシデント対応を行う枠組み

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Operational Technology(OT)セキュリティへの対応

当社の使命である高品質な医薬品の安定供給を果たすために、医薬品の製造プロセスに関わる制御装置やシステムへのサイバー攻撃リスクへのセキュリティ(OTセキュリティ)施策を推進しています。
具体的には、製造拠点における推奨セキュリティ技術施策を整理した標準モデルやOTセキュリティリスクを特定し管理するための評価・管理プロセス等を設計し、セキュリティ対策を推進しています。これらの対策により、品質管理や安定供給におけるリスクを最小限にし、患者さんへの医薬品提供に貢献しています。

グローバルDXガバナンスと人材育成

データとデジタルを駆使するグローバル組織体制

グローバルDXはグローバルコーポレート機能の1つとしてCEOとCOOの第一三共グループ経営戦略立案および経営の執行と円滑な推進管理をサポートしています。Chief Digital Transformation Officer(CDXO)を実務執行責任者とし、グローバルにデジタル戦略、ITおよびデータ利活用に関するグローバルガバナンスを強化しています。

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*DSI:DAIICHI SANKYO, INC.(第一三共 INC.)(アメリカ)、DSE:DAIICHI SANKYO EUROPE GmbH(第一三共ヨーロッパ GmbH)(ドイツ)

全社DXを推進する風土醸成と人材育成

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各組織のDX人材像の
定義と育成計画

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各種資格取得のサポート

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スキルに合わせた
トレーニングの提供

グローバル体制を深化させ、全社一丸となってデータと先進デジタル技術を活用していくための企業風土醸成や人材育成・確保、組織間コミュニケーションを進めています。また、最新の技術や最適な技術をいち早く取り入れ活用するという観点から外部連携にも注力しています。

人材育成においては、全社員の育成としてITパスポートやデータサイエンティスト検定、G検定取得を推奨する*とともに、DX推進スキル、データ分析スキル向上プログラムを導入しています。また、各組織のDX推進に必要な人材育成計画を策定し推進しています。これ以外に、リテラシー向上策として定期的なセミナーや短編動画の配信にも力を入れています。

* ITパスポート 約2千名が合格(2023年12月時点)

DX人材の育成の詳細情報はこちら

外部表彰・認定

社会から認められるレベルでDXを推進

第一三共は、DX銘柄やDX認定を取得しています。

DX銘柄

第一三共は、2024年5月27日付で、経済産業省、東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2024」に選定され、2年連続での選定となりました。
DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定するものです。
当社のDXは、中長期で価値を創出し続けるための一元的なDX推進体制、統合データ分析基盤や人材の多様性を強みとし、以下のような活動を通して、企業価値に貢献しています。

  • AI・機械学習やビッグデータを活用した創薬の革新、各バリューチェーン活動の効率化・品質向上・高度化の実現
  • 全従業員対象の生成AIの本番運用開始など、着実なDX推進
  • RPAによる業務効率化や市民開発を通じたデジタルリテラシー向上
  • メタバース空間を用いた業務利活用アイディエーションワークショップ等の実施によるDX風土醸成
  • HaaS(Healthcare as a Service)の実現に向けた新規ビジネスモデルの開発の推進

 

DX認定

第一三共は、2023年1月1日付で経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。DX認定とは、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の認定要件を満たしてDX推進の準備が整っている事業者(DX-Ready)を「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業大臣が認定する制度です。
2022年9月にコロナ禍やデジタル人材育成・確保などの時勢の変化に対応するために必要な改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」が経済産業省により策定されました。この度の当社の「DX認定事業者」選定は「デジタルガバナンス・コード2.0」の認定要件を満たしたものとなります。

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